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第19回 天文宇宙検定 受験者データと講評

このたびは、第19回天文宇宙検定に全国の会場およびオンラインにてご参加いただき、誠にありがとうございました。受験者の皆様に、天文宇宙検定委員会一同、心より感謝申し上げます。以下に、2025年6月8日開催の第19回天文宇宙検定の試験の受験者データを公開します。なお、データはすべて会場受験者のみの統計であり、オンライン受験者については、「4.オンライン受験者の分析」をご覧ください。また、割合は四捨五入しているため、合計が 100% にならないことがあります。

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1. 検定結果の概要と総評

合格率平均点合格基準
1級1.0%42.5点70点以上
準1級9.9%60点以上70点未満
2級38.7%64.0点70点以上
3級68.6%66.2点60点以上
4級83.4%74.5点60点以上

● 第18回は合格者0名であった最難関の1級で合格者―天文宇宙博士-が誕生しました。継続的な学習に励まれた努力に心より敬意を表します。4級と3級はほぼ前回同様の高い合格率であり、基礎的な知識を身に着けておられるのを感じます。一方で、例年通り2級の合格率は3級から大きく低下しており、「なぜ」を問う応用力の壁が示されました。

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2. 受験者の年齢構成に見る傾向

受験者の年齢構成(割合)は以下のとおりです。各級とも幅広い世代が天文宇宙への知的好奇心を持って挑戦していることがわかります。

 

1級 受験者の年齢構成

年代割合備考
~10歳1.0% 
10代12.9% 
20代13.9% 
30代9.9% 
40代7.9% 
50代17.8% 
6022.8%最多層
70代13.9% 
80歳以上0.0% 


2級 受験者の年齢構成

年代割合備考
~10歳3.2% 
1029.4%最多層
20代26.2% 
30代11.0% 
40代8.9% 
50代9.1% 
60代10.4% 
70代1.7% 
80歳以上0.2% 

3級 受験者の年齢構成

年代割合備考
~10歳4.6% 
1036.0%最多層
20代18.6% 
30代11.7% 
40代11.5% 
50代10.9% 
60代4.6% 
70代1.7% 
80歳以上0.4% 

4級 受験者の年齢構成

年代割合備考
~10歳21.9% 
1036.3%最多層
20代7.2% 
30代7.5% 
40代12.5% 
50代9.7% 
60代4.4% 
70代0.6% 
80歳以上0.0% 

● 4~2級では10代が最も多い年代となりました。特に4級では~10歳が21.9%を占めるなど、若年層の関心の高さが顕著です。一方、1級の最多層は60代であり、50代以上が合計で54.5%を占めています。専門的な知識の探求が、世代を超えた生涯学習のテーマとなっていることを示しています。

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3. 各級の点数分布と客観的分析

各級の点数分布(割合)は以下の通りです。ご自身の得点帯がどの水準にあるのか、客観的な目安としてご参照ください。

1級:合格点70点以上

点数帯割合備考
0~90.0% 
10~190.0% 
20~2915.8% 
30~3926.7%最多層
40~4929.7% 
50~5916.8% 
60~699.9%準1級以上合格点
70~790.0%1級合格点以上
80~891.0%1級合格点以上
90~990.0%1級合格点以上
1000.0%1級合格点以上

● 受験者の約56.4%が30~49点に集中し、点数分布が合格点未満に偏りました。準1級の合格点である60点以上の得点帯に到達した受験者は10.9%でした。

2級:合格点70点以上

点数帯割合備考
0~90.0% 
10~190.0% 
20~290.8% 
30~396.8% 
40~4912.3% 
50~5918.6% 
60~6922.6%最多層
70~7918.0%合格点以上
80~8916.9%合格点以上
90~993.8%合格点以上
1000.0%合格点以上

● 最多層は60~69点であり、合格点にあと一歩届かなかった層が全体の約22.6%を占めました。合格者(70点以上)は全体の38.7%でした。

3級:合格点60点以上

点数帯割合備考
0~90.0% 
10~190.0% 
20~290.4% 
30~393.3% 
40~499.8% 
50~5918.0% 
60~6926.6%最多層 / 合格点以上
70~7925.7%合格点以上
80~8912.3%合格点以上
90~994.0%合格点以上
1000.0%合格点以上

● 最多層の60~69点は合格点(60点)をわずかに超えた層であり、この層と70~79点の層で受験者の約52.3%を占めました。

4級:合格点60点以上

点数帯割合備考
0~90.0% 
10~190.0% 
20~290.3% 
30~390.6% 
40~495.0% 
50~5910.6% 
60~6915.6%合格点以上
70~7929.7%最多層 / 合格点以上
80~8921.6%合格点以上
90~9915.3%合格点以上
1001.3%合格点以上

● 最多層は70~79点でした。受験者の約83.5%が合格点(60点)以上の得点帯に分布しており、入門級として多くの方が天文学の基礎知識をしっかりと習得されていることが示されました。
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4. オンライン受験者の分析

オンライン受験者の成績は、会場受験者を含む全体成績と比較して以下の傾向が見られました。

合格率(オンライン)平均点(オンライン)合格率(会場受験)平均点(会場受験)
234.6%63.1点38.7%64.0点
373.6%69.068.6%66.2点
479.4%74.2点83.4%74.5点

● 3級においてのみ、オンライン受験者の成績が会場受験を上回る結果となりました。4級と2級でオンライン受験者の成績が会場受験をわずかに下回った要因の一つとして、オンライン化によってこれまで会場にアクセスできなかった幅広い学習経験や年齢層の方々の受験機会が創出された結果と見ています。
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5.正答率の低かった問題

各級の出題問題のうち正答率の低かった設問3問は以下のとおりでした。
公式ホームページで公開している試験問題・正答・解説を併せてご確認ください。

■2025年度 第19回天文宇宙検定 解答速報
https://www.astro-test.org/answer_flash19_2025/ 

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1級 正答率の低かった問題

🥇 1位:問17 (正答率 5.9%)
太陽の周りを回る塵が受けるポインティング-ロバートソン効果とは何か。

🥈 2位:問15 (正答率 13.9%)
地球には鉄が豊富に存在するが、宇宙誕生時、鉄は存在していなかった。鉄の供給源となる天体、または天体現象として最も主要なものを選べ。

🥉 3位:問28 (正答率 15.8%)
円形(球状)に広がる打ち上げ花火が丸い形を保つ理由を選べ。

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2級 正答率の低かった問題

🥇 1位:問51 (正答率 11.8%)
次の画像の光る点の多くはULXだが、ULXの正体は何と考えられているか。

🥈 2位:問20 (正答率 26.6%)
植生の反射率には、図中の矢印で示した1.5μm付近や2μm付近などで、反射率が低くなった深い切れ込みがある。その主な原因は何か。

🥉 3位:問50 (正答率 27.3%)
生物とウイルスのもつ共通の性質に関する説明文として正しいものはどれか。

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3級 正答率の低かった問題

🥇 同率1位:問45 (正答率 24.3%)
国際探査計画「ベピコロンボ」で、2018年に打ち上げられた2機の探査機はどの惑星に到達予定か。

🥇 同率1位:問48 (正答率 24.3%)
次の中で、X線天文観測衛星はどれか。

🥉 3位:問18 (正答率 24.7%)
次のうち、現在使われている全天88星座にないものはどれか。

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4級 正答率の低かった問題

🥇 1位:問29 (正答率 28.1%)
1997年に撮影された次の彗星の名前はどれか。

🥈 2位:問1 (正答率 29.4%)
宇宙人へのメッセージとして、男女の絵がえがかれた金属プレートをつけて、今も宇宙を旅している探査機はどれか。

🥉 3位:問27 (正答率 31.3%)
つぎはある銀河の説明である。どの銀河のことを言っているか。正しいものを選べ。
・おとめ座にある ・非常に巨大な楕円銀河である ・人類が中心部の超巨大ブラックホールの撮影に成功している

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6. 講評と今後の学びに向けて

このたびは、第19回天文宇宙検定にご参加いただき、誠にありがとうございました 。今回も皆様の天文宇宙への深い情熱と知的好奇心が、世代を超えて、そして会場・オンラインの枠を超えて、広がり続けていることを実感させていただきました 。

さらなる学びを進めるうえでは、天体現象の「なぜ」を、物理的な概念や論理的な思考によって深く理解することが、次のステップへ進む鍵となります。基礎的な法則の奥深さや、それに隠された「謎」を追求することこそが、天文学の最も面白い部分です 。

今後の学習対策として、まずは公式テキストを用語だけでなく関連する背景知識や応用例まで深く読み込むことが、得点アップに繋がる確かな土台となります。さらに、最新の発見やミッションに関する出題も多く見られますので、公式テキストで基礎を固めつつ、国内外の専門ニュースや科学系ウェブサイトなど、広くネット情報に耳目を開く姿勢が、フロンティアの知識を掴むための力となるでしょう。

天文宇宙検定委員会は、本検定が、皆様の知的好奇心に火を灯し、宇宙の神秘を楽しみ、生涯にわたる、尽きることのない探求へと繋がるきっかけとなることを心から願っております。
これからも、皆様が宇宙という壮大なテーマを通じて、広く深く学びを継続されることを心より応援いたします。次回の検定においても、皆様の知的好奇心に満ちた挑戦をお待ちしております 。

天文宇宙検定委員会

  
 
   
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