ご質問への回答【第6回試験問題について】
2016.10.13
試験後に開催した「答え合わせ会」や、メール等で、
いくつか御質問をお寄せいただきましたので、
御回答、および補足説明をいたします。
■【質問1】
2級問39は、②も正解なのでは?
【2級 問39】
固体ロケットと比べたときの、液体ロケットの利点は何か。
①開発コストが小さい
②大きな推力が得られる
③燃焼の中断、再着火ができる
④燃料を充填したまま長期保管ができる
【正解】
③
【解説】
以下の表のように、
固体ロケットと液体ロケットの双方に利点と欠点がある。
例えば、
H-ⅡAロケットは、液体水素と液体酸素を推進剤とした
液体ロケットであるが、
搭載重量に応じて固体補助ロケットを追加するなど、
双方の利点を活用している。
【補足説明】
「推力」と「比推力」は、混同しがちなので、
本問はまぎらわしい問題だったかもしれません。
上に挙げたのは解答速報からの抜粋です。
解説文中の『2級テキスト』図表9-1では、
液体ロケットと固体ロケットの「比推力」は比較していますが、
「推力」については比較されていません。
『2級テキスト』傍注(P.124)にある
「液体ロケットの方が燃焼効率はよいので、
比推力や噴射速度は高くしやすいが、
推力は固体ロケットの方が高くしやすい」
という記述等が正答を選び出すカギとなります。
まず、「推力」とは何かを考えましょう。
推力とはロケットを進行方向へ推し進める力で、
ロケットから毎秒噴射される燃焼ガスの質量と
燃焼ガスの噴出速度の積に比例します。
単位はN(ニュートン)です。
1Nは1kgの物質に1m/s² の加速度を
生じさせる力をいいます。
「推力」の大きさにおいて、
液体ロケットは固体ロケットに及びません。
具体的に推力の絶対値を比較すると、
以下とおりです。
【液体ロケットの例】
スペースX ラプター・・・・・・ 3050 kN(キロニュートン)
スペースシャトル SSSE・・・・・・ 1860 kN(キロニュートン)
【固体ロケットの例】
スペースシャトル固体ブースター・・・・・・ 12500kN(キロニュートン)
M-Vロケット M-14・・・・・・4214kN(キロニュートン)
H‐ⅡAロケットにおいても、
第1段のメインエンジン(液体)の推力は、
真空中およそ1100KN(キロニュートン)ですが、
両脇についている固体燃料ロケットの推力は、
1本あたりおよそ2500KN(キロニュートン)もあります。
つまり、
「②(液体ロケットは固体ロケットより)
大きな推力が得られる(利点がある)」
とはいえないので、②は不正解となります。
ちなみに、「比推力」で比べると、
液体燃料ロケットの方が大きいです。
『2級公式テキスト』(P.124・125)にあるように、
「比推力」とは、発生する推力を
1秒当たりの推進剤消費量で割ったもので、
推進剤の性能を示すものといえます(単位は秒で表します)。
つまり、比推力とは、
単位質量の推進剤が単位質量の推力を何秒間出せるか、
と言い換えることもできます。
H‐ⅡAロケットの場合、
第1段メインエンジン(液体)の比推力は約440秒、
両脇の固体燃料ロケットの比推力は約283秒であり、
液体燃料ロケットの方が大きくなります。
選択肢②が
「②(液体ロケットは固体ロケットよりも)
大きな比推力が得られる」であったならば、
正解は②と③となりましたが、
設問では、「推力」とありますので、
③のみが正解となります。
■【質問2】
2級 問7
「あなたは宇宙初期に銀河をつくることにした。
必要な材料の組み合わせで正しいものはどれか」とありますが、
「あなたは宇宙初期の銀河を~」ではないでしょうか?
【回答】
問題制作者の意図を尊重したものですので、
ご理解いただきたくお願いします。
ご指摘の文章であっても設問の正誤に
影響を及ぼすものではないと判断いたします。
■【質問3】
公式テキスト3級 2015~2016のページ112、ほぼ真ん中の、
アメリカ 月探査機サーベイヤー1号の年は1965ではなく、
1966ではないでしょうか?
そうしませんと、上下の年と釣り合わない気がします。
「恒星社恒星閣」さん発表の誤記表にありません。
【回答】
大変失礼いたしました。誤植です。
公式ホームページの正誤表に追加をいたしました。
訂正してお詫び申し上げます。
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