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第2回天文宇宙検定受験者データおよび講評

○第2回天文宇宙検定受験者データ

第2回天文宇宙検定(2012年10月7日開催)

 

●最年少受験者

5歳
 
●最高齢受験者

83歳
 
●受験者男女比率

1級:男性83%、女性17%

2級:男性63%、女性37%

3級:男性51%、女性49%

4級:男性62%、女性38%
 
●合格率

1級:1.2%

2級:15.9%

3級:63.7%

4級:93.8%
 
●最高得点

1級:71点

2級:94点

3級:96点(2名)

4級:100点(10名)

 
 

○第2回天文宇宙検定講評

■4級

各会場ともたくさんの熱心な小学生に挑戦していただいた。最年少受験者が5歳で、かつ見事に合格を果たされたことは、たいへん驚きであり、喜ばしい。

最も正答率が低かった問題は、ギリシャ神話に登場するオリオンの父を問う【問28】。次が、「冬の大六角」にない一等星を問う【問10】。三番目が写真と天体名の正しい組み合わせを問う【問40】。以降、正答率の低かった問題は、【問34】、【問5】、【問26】、【問15】と続く。それぞれ、太陽とアンタレスの大きさくらべ、ケンタウルス座のアルファ星までの距離、月までの距離、太陽の表面温度が問われる問題である。距離や温度の概念にはまだ不慣れな小学校低学年にはハードルが高かったかもしれないが、距離や温度は理科(科学)では重要な概念なので、この機会に勉強してもらえれば幸いである。一方、正答率の高かった問題は、北極星の特徴を問う【問17】、流れ星の正体を問う【問27】、月のクレーターの起源を問う【問32】。これらはほぼ100%の正答率であった。

『4級公式テキスト』の3章「地球の仲間たち」から出題された、太陽系惑星に関する問題は正答率が高かった。「はやぶさ」「ボイジャー」「キュリオシティ」など、昨今、惑星探査機のニュースが多く取り上げられている影響かもしれない。一方で、5章「星と銀河の世界」から出題された問題の正答率は低かった。小学校低学年から中学年では、まだ空間認識力が充分に発達しておらず、日常生活での距離感を超える膨大な宇宙の広がりを想像することが難しかったのかもしれない。

 

■3級

昨年に続き、最も受験者数が多かったクラスである。他のクラスは男性受験者が多いが、3級は昨年同様、男女比がほぼ均等であった。親子受験に挑戦されたお母様方が、数多くみられたクラスでもある。

最も正答率が低かった問題は、【問51】。挙げられた4つの中から誤りのある記述の個数を問う問題であるが、限られた試験時間に対して問題が少し複雑だった。今後の問題制作に対して課題を投げかけた一問であった。次が、【問34】で、最初の惑星探査機が目指した惑星を問う問題である。7割以上の方が③の火星を選択している。次が【問59】1天文単位の運賃が1円の銀河鉄道でシリウスまでいくらかかるかという問題。問題自体は身近なお金に換算するユニークなものだったが、シリウスまでの距離と天文単位の知識と計算を要することから、空欄のまま提出された方が最も多かった問題でもある。

正答率の高かった問題を見てみると、「地球の出」を撮影した月探査機の名前を問う【問19】、「宇宙」という言葉の意味を問う【問25】が最も高く、次いで、古代から知られる主要5惑星を問う【問61】が続く。

『3級公式テキスト』の章別にみてみると、6章「太陽系の彼方には何がある」から出題された問題での正答率の低さが顕著であった。計算を要する問題が6章から多く出題されたことが影響したとみられる。桁数の多い計算問題が誤りを誘ったものと思われる。

 

■2級

1級・2級は、合格点が70点以上と厳しくなる。得点が60点台であった方が、2級全受験者数の約27%であった。あともう少しの頑張りを期待したいところである。試験会場での受験者アンケートでは、「昨年の問題とくらべて難しかったのではないか」という意見も散見された。通年での問題レベルの標準化は今後の課題として受け止めたいところである。そんななか、高校生レベルのこのクラスで、中学生の合格者がいたことには驚きを隠し得ない。

最も正答率が低かった問題は、DNAの階層構造に関する【問64】。昨今注目を集めているアストロバイオロジーに関しては、改訂される次回テキストで充実を図る予定である。次が【問66】で、ニュートン力学がケプラーの法則の理論的証明であるという歴史的史実から正解が導き出されるべきところを②を選択した方が47%であった。三番目に正答率が低かったのは【問46】。望遠鏡の集める光量は開口の面積(!)と比例する。口径の長さと勘違いし②を選択した誤回答が35%あった。

最も正答率の高かった問題は、現在の宇宙の推定年齢を問う【問29】で、正答率は95%。次に、太陽表面の温度の割出し方を問う【問47】、オーロラについての正しい記述を選ぶ【問39】と続く。

『2級公式テキスト』の章ごとにみてみると、4章「十人十色の星たち」から出題された問題の正答率が低かった。スペクトルに関する問題には、受験者の知識の曖昧さがみられ、回答がばらつく傾向がみられた。これは来春、改訂発行する新テキストで検討すべき点であると受け止めている。

 

■1級

問題集発売当初より出題水準の高さがいわれていた1級では、得点が40点台であった受験者が37%を占めた。

正答率が低かった問題は、【問11】小説『天地明察』に登場しなかった観測機器を問うもの。これは観測機器の歴史に通じている必要がある。次が観測分野から出題された【問29】、理論分野から出題された【問22】と続く。【問22】の正答率は18%であった。ちなみに、【問29】は大学の教養レベルの講義で習う内容だが、【問22】は専門課程の講義で習うこともあるレベルの内容である。

最も正答率の高かった問題は、【問18】宇宙を構成する元素で最も多く存在し、どの銀河でもあまり存在量が変わらないものを問う問題。正答率は88%であった。次が【問5】江戸時代の日本に観測記録がないものを問う問題である。三番目に正答率が高かったのは、【問15】。ガンマ線で明るく、かつ電波源でもある天体の正体を写真から問う問題であった。

最高レベル1級の問題であれば、難易度が高くなるのは必然であるが、広範な知識やその深度だけでなく、高い応用力が試されるような問題の制作のため、一層の創意努力が必要であると痛感した。

 
 

■天文や宇宙を学ぶ際には、どうしても太陽系など地球に近い領域に関しては記述も多く、比較的身近なので深く学ぶことになる。その一方、太陽系から遠くなるほど、記述は浅くなり学びも不確かになっていく。一方で、本検定試験では、宇宙のさまざまな階層に関して同じ程度に扱っているために(とくに2級以上は)、太陽系から遠くなるほど正答率が低くなる傾向がみられる。

また天文学と宇宙自体に関する知識や考え方を学んでいくことは、もっとも重要な部分である。しかしながら、宇宙空間と地球大気が地続きであるように、天文・宇宙の境界も曖昧であり、天文学周辺の領域についても少し目を向けて欲しい。そうすることで、天文・宇宙をより深く知ると同時に、もっと楽しめるようになると思う。

 
 

■天文宇宙検定公式テキスト2級と3級(第3回・第4回試験対応)は、新しい知見を加えて改訂し、来春に発刊予定。詳細が決まり次第、当ホームページにて告知する。

 
 

2012年12月吉日

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