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〇第14回試験問題へのご質問に対する回答

第14回試験問題について、いくつかのご指摘・ご質問を頂戴いたしました。ありがとうございます。

以下のとおり、回答申し上げます。
質問者からの文章は、一部を割愛させていただきました。ご了承ください。
なお、2級問8につきましては、正答が導き出せないことから、当該問題につきましては受験者全員を正解といたします。
また、問20の選択肢②につきましては、新しい知見が発表されてきていることを鑑み、
②を選択した場合も正答とします。
受験者の皆さまにはご迷惑をおかけいたしましたことを、深くお詫び申し上げます。

■2級・問8

【問題】
十干十二支(じっかんじゅうにし)について正しく述べたものはどれか。
①暦が50年で一巡りすることを還暦という
②十干十二支の組み合わせでは、60以上の数を表すことはできない
③十二支に動物名を当てているのは日本だけである
④真夜中を「ねの刻」というが、十二支とは関係がない

【正答】

【解説】
十干十二支で順序数をつくる場合、十干と十二支を「甲子」、「乙丑」、「丙寅」のように、それぞれ最初から1つずつ順に組み合わせていく。そのため組み合わせは60通りしかなく、60以上の数を表すことはできない。
また、60歳になると生まれた年の十干十二支に還るため、60歳になることを還暦という。
干支を使用しているベトナムなどでも動物名の振り当てはあるが、猫や山羊、豚など日本と異なる動物名が出てくる。

【質問】
・選択肢②は、60以上だと60を含むので61以上の数を表すことができない、でなければおかしくありませんか?
・解答は②となっていましたかが、60以上には60も含むのではないでしょうか?

【回答】
ご指摘いただいたとおり、「60以上」は間違いで、正しくは「61以上の数を表すことはできない」となります。
正答がない問題となりますため、全員正解といたします。

■2級・問20

【問題】
アミノ酸や核酸などの有機分子には、D型とL型がある。地球の生体はL型のアミノ酸だけを使っている。これについて述べた文で間違っているものはどれか。

①化学合成するとL型の方がD型より倍以上生成されやすい
②生体はD型のアミノ酸を吸収することはできない
③生体はD型の核酸のみを使っている
④生体の核酸は片方の型だけが使われることで二重らせん構造がとれる

【正答】

【解説】
アミノ酸や核酸などの有機分子を化学合成すると、L型もD型も等量が生成される。L型とD型はそれぞれ同じ型のものが結合して、より複雑で巨大なタンパク質やDNAを作っている。なので、L型のアミノ酸でできた生体は、L型のアミノ酸のみが使用できる。D型が来ても使えない、すなわち吸収できないのである。
ただ、そうなら、D型のアミノ酸ばかりの生体が半分あっても不思議ではないが、それはほとんどない。その理由として考えられているのが、アミノ酸は特定の円偏光した光の元では、片方の型ばかりが生成される性質があり、そういう環境があったことは考えられる。ただ、地球上ではそれは考えにくいので、宇宙空間でそうした環境があり、そこでできたL型アミノ酸が降ってきて、地球に生体を作ったという説もある。

【質問】
正解は①となっておりましたが、②の「生体はD型のアミノ酸を吸収することはできない」の記載も実際は間違っていて、生体はD型アミノ酸を吸収できるとの研究の事実が多くありますので、②も正解にすべきと考えます。この根拠については、実際に生体はD型アミノ酸を吸収しているとの研究が数多くございます。

【回答】
当該問題については、生命科学分野の学識経験者を交えて天文宇宙検定委員会で議論を重ねました。結果、最新の研究知見では、生体内のD型アミノ酸の存在は広く認知されている事実であり、その機能について研究が進められているのが現状であるとの見解に達しました。よって、選択肢として挙げた「②生体はD型のアミノ酸を吸収することはできない」を正しいと断じることが困難であると判断し、当該問題については、①と②を正答といたします。
ご指摘いただいた内容については、次回の改訂時に参考にさせていただきたく思います。

■2級・問39

【問題】
宇宙線についての記述のうち、間違っているものはどれか。

①宇宙空間を飛び交う高エネルギーの電磁波である
②超新星残骸や銀河中心、太陽などから発せられている
③地上での被曝線量(自然放射線量)は、1年間で約2.4ミリシーベルトである
④国際宇宙ステーションに滞在中の宇宙飛行士は、1日あたり平均して地上での約半年分を被曝する

【正答】

【解説】
宇宙線は宇宙空間を飛び交う陽子やアルファ粒子、リチウム、ベリリウムといった高エネルギーの粒子線である。

【質問】
正解は①となっておりましたが、③の「地上での被爆線量(自然放射線量)は、1年間で約2.4ミリシーベルトである」の記載は間違っているとして正解にすべきと考えます。日本国内での被爆線量(自然放射線量)は1年間で約2.1ミリシーベルトと環境省の下記WEBサイトの資料で記載されております。
①の「宇宙空間を飛び交う高エネルギーの電磁波である」が間違いで正解となっておりますが、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の資料によれば、「実際、宇宙放射線(もしくは、宇宙線)と呼ばれる。その中には地上では通常存在しない種類の放射線も多く含まれる。専門的に詳述すれば、宇宙放射線は宇宙環境に存在する電離放射線であり、X 線やガンマ線等の電磁波の他、陽子、中性子、電子、アルファ線、重粒子等の粒子線からなる」と記載されております。宇宙線にはX線、ガンマ線等の電磁波が含まれるとなっておりますので、①は正解ではないと考えます。

【回答】
(1)選択肢③について
公式テキスト(P.132)掲載の「地上での被曝線量(自然放射線量)」は、「約2.4ミリシーベルト」と明示しておりますとおり概数であり、環境省の提示する数値に明瞭な差異があるものではございません。したがって③を間違い(正答)とはできません。
(2)宇宙線について
公式テキストでは、「宇宙線は、宇宙空間を飛び交う高エネルギーの粒子線のこと(P.132)」と解説しています。ご提示いただいたJAXAの宇宙線に関する見解にもあるとおり、宇宙線とは、X 線やガンマ線等の電磁波の他、陽子、中性子、電子、アルファ線、重粒子等の粒子線からなるものととらえれば、選択肢「①宇宙空間を飛び交う高エネルギーの電磁波である」は、誤った記述と解することができますので、正答は①のみといたします。