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第12回試験問題へのご質問に対する回答

第12回の試験問題について、ご質問をお寄せいただき有難うございました。
以下に、お寄せいただいたご質問・ご意見について回答申し上げます。

●2級問1について
【問題文】
ブラックホールに吸い込まれた物質はどうなると考えられているか。

①内部にとどまる
②一部はジェットとして吹き出す
③ワームホールを経由して別の場所に出現する
④ブラックホールの分裂(増殖)に使われる

【正答】
①内部にとどまる

【解説】
物質を吸い込むとブラックホールの質量は増加すると考えられており、吸い込まれた物質は何らかの状態で内部にとどまっていると考えられている。一方、ブラックホール天体からはしばしばジェットが吹き出しているが、これはブラックホールに吸い込まれ損ねた物質が吹き出しているもので、決して、内部から出てきたものではない。また、ワームホールは理論上は存在する可能性があるが、ブラックホールとは時空構造が異なっており、ブラックホールを2つ繋げたものがワームホールになるわけではない。なお、ブラックホールが分裂することはありえないと考えられている。

【質問】
こちらの問題文でブラックホールと書かれた部分はどこまでの範囲を示すものなのでしょうか? 問題文にブラックホールの中(事象の地平線を超えて)等と書かれていればある程度わかりますが、今回の問題文では単純にブラックホールとしか書かれていませんでしたので。

【回答】
2級公式テキストp.14に書かれているように、ブラックホールは、「(その内部からは光が脱出できなくなる)事象の地平面と呼ばれる球状の境界面で囲まれている。」という天体です。すなわち、事象の地平面の内部がブラックホールで、事象の地平面の外部はブラックホールではなくブラックホールの外ということになります。

●2級問21について
【問題文】
宇宙が生まれてから40万年後頃に起こった出来事は何か。
①最初の星の誕生
②宇宙の晴れ上がり
③宇宙の再電離
④特記すべきことは起こっていない

【正答】
②宇宙の晴れ上がり

【解説】
宇宙が誕生してから約38万年後に、陽子と電子が結合して水素原子となり、プラズマ状態(電離状態)の水素が中性状態の水素となった。その結果、それまで電離した電子(自由電子)と衝突して直進できなかった光子が直進できるようになった。これを宇宙の晴れ上がりという。その後、約2億年頃に、最初の星が誕生して、ほぼ同時期に、宇宙の再電離が起こった。

【質問】
天文宇宙検定2級公式テキストには「38万年頃」という記載しかないのに、「40万年頃」という問題文の表記はおかしいのではないでしょうか? 他のテキスト等では40万年という表記を行なっているのかもしれませんが…。
さらに、選択肢④「特記すべきことは起こっていない」という表現はかなり意地悪な問題だと思います。(質問文の内容は、一部改変および省略しております)

【回答】
まずは、当問題文の数値について、受験者の皆様に混乱を招いた点をお詫びします。
本検定の試験問題は公式テキストの記載に合わせるようチェックを行っておりますが、概算で数値を丸めることは天文学の世界ではよくあるため、当該問題の数値については見過ごされてしまいました。概算や桁丸めを承知して天文の世界に臨むと、より広がりをもってとらえられる点はご理解いただきたいところです。しかし、ご指摘いただきましたとおり、公式テキスト記載の数値「38万年頃」に合わせる配慮がなされるべきでした。
なお、選択肢④「特記すべきことは起こっていない」につきましても、公式テキストp.13の記載のとおり宇宙が生まれてから38万年後頃に宇宙の晴れ上がりが起これば、その2万年後の40万年後頃には「特記すべきことは起こっていない」と解釈できることから、②と④を正答といたします。

●2級問23について

【質問】
選択肢には「=」が必要なのではないか?

【回答】
天文宇宙検定では、複数の組み合わせで選択肢を記述する場合、
ア:〇〇 イ:△△
のように表記しています。アが〇〇、イが△△という意味です。
今回は語句ではなく数式でしたが、同様の表記で

と表記しています。これは、

で、

という意味で「:」を使用しています。

 

●1級問13について
【問題文】
日本の次世代ロケットH3の主な特徴はどれか。
①再使用型である
②段数を増やして効率化をはかる
③スペースプレーンを搭載している
④まだ策定中ではっきり決まっていない

【正答】
①再使用型である

【解説】
次世代の国産基幹ロケットH3は、従来は使い捨てだった一段目を、姿勢制御などで再着陸させて再利用する方向で開発が進んでいる。その結果、打ち上げ費用が100億円かかっていたH2Aに対し、25億円程度に大幅減できると期待されている。さらに2段目も再利用すれば、5億円程度になると予想されている。打ち上げ費用を大幅に下げることで、国際的な競争力を高め、世界の宇宙市場へ挑戦しようとしている。

【質問】
H3ロケットが「再使用型」というのは間違いではないか。

【回答】
ご指摘いただきましたとおり、1級問13の選択肢①に不備がございました。
H3ロケットが「再使用型である」のは間違いであり、選択肢の中に正答がありませんでした。
そのため、当該設問につきましては、受験者全員を正解といたします。
受験者の皆さまにはご迷惑をおかけいたしましたことを深くお詫び申し上げます。
試験問題の確認体制をさらに強化し、再発防止に努めてまいります。