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第7回天文宇宙検定受験者データおよび講評

○第7回天文宇宙検定(2017年10月22日開催)


●最年少受験者

1級 10歳
2級 7歳
3級 7歳
4級 5歳


●最高齢受験者

1級 72歳
2級 83歳
3級 84歳
4級 92歳

 

●受験者男女比率

1級:男性 79 %、女性 21 %
2級:男性 65 %、女性 35 %
3級:男性 55 %、女性 45 %
4級:男性 56 %、女性 44 %

 

●合格率

1級:5.3%
2級:45.1%
3級:69.7%
4級:83.2%

 

●最高得点

1級:77点
2級:97点(2名)
3級:96点
4級:98点(3名)

 

●平均点

1級:49.6点
2級:65.1点
3級:65.6点
4級:72.5点

 

○第7回天文宇宙検定講評

■4級

回を追うごとに、10代未満・10代の若年層の比率が高まっており、今回は4級受験者の55%を占めるに至った。
合格率についてみると、前回(85.8%)よりも若干下がり、83.2%。世代別の合格率は、30代:95.0%、40代:94.4%、50代:88.9%、60代以上:100%。大人世代の面目躍如といった印象だ。ちなみに、若年層の合格率は、10代未満:70.2%(前回より11.9%減)、10代:80.5%(前回より4.1%増)、20代:79.2%(前回より13.7%減)であった。
正答率の高かった問題をみてみると、【問33】人の目で、部分日食を見るときに使う道具を問う問題(正答率97.5%)、【問25】オーロラの発生原因を問う問題(正答率96.7%)、【問20】写真のなかから銀河を選ぶ問題(正答率:96.5%)がベスト3であった。 一方、【問24】月探査の歴史について、探査機の実績から誤りを見つける問題(正答率31.4%)のように設問・選択肢の文が長くなると正答率が下がる傾向が年少者に見られた。単に知識を問う問題であれば、記憶力で大人と変わらない強さを発揮する年少者も、小学5・6年生の受験を想定して作問されている4級の試験問題では、少々力が及ばない様が例年見て取れる。他にも、【問4】自転周期が最も長い太陽系惑星を問う問題(正答率33.2%)では、④天王星を選択した方が約4割いた。公転周期と勘違いしたのかもしれない。また、【問27】(正答率36.7%)のようなギリシャ神話からの出題はほぼ恒例となっているが、毎回正答率がいまひとつ伸びないのは残念である。

 

■3級

10代・20代の受験者が多い傾向は、今回もそのまま。60代以上の受験者は5.1%。「頭の体操のために勉強して受験した」というアンケート回答も多く寄せられており、当検定はまさしくうってつけと思われるのだが、年配の方々に広く告知する策について運営側も頭を悩ませている。
合格率をみてみよう。3級全体の合格率は、69.7%。前回(81.8%)と比べると大きく下がっている。得点分布をみると、50~59点に3級全受験生の約20%が属しており、あと一歩及ばなかった方々が前回よりも多かった。
今回、正答率の低かった問題には天文学史の問題が多い。試験問題は3級テキストの全章からまんべんなく出題しているが、今回は、天文学史の問題に難問が多かったことが、得点が伸びなかったことに影響しているのかもしれない。【問34】宇宙開発の歴史のなかで一番早かった出来事を問う問題(正答率:27.6%)。【問54】ガリレオが天体を観測し発見したものでないものを問う問題(正答率:28.6%)、【問48】種子島への鉄砲伝来と同時期の天文学史上の出来事を選ぶ問題(正答率:31.8%)。正答率ワースト3が全て天文学史の問題であった。望遠鏡が発明されて400年ほど、人工衛星の打ち上げ成功からは60年ほどしか経っていない。宇宙と人類とのかかわりを時系列で正しくとらえられているかは、狙われやすい問題といえるだろう。
一方、正答率の高かった問題は、基礎的な定番問題が多かった。【問44】図がどこの宇宙観を表したものかを問う問題(正答率:95.9%)。【問35】天体現象のなかで起きないものを選ぶ問題(正答率:95.9%)。【問19】日本から見た太陽の動きを表わす図から春分・秋分・夏至・冬至を正しく示しているものを選ぶ問題(正答率:92.1%)である。基礎的な知識にさらなる積み重ねがあれば、昨今の宇宙関連ニュースを見聞きしても、さらに深い愉しみが得られるだろう。

 

■2級

今回の合格率は、45.1%(前回は63.8%)と大きく下がった。得点分布をみると、60~69点に20.4%が位置しており、こちらも3級同様に、あと一歩の方が多かったとみられる。
天文学史の問題の正答率の低さが目立つ点も3級と同様で、正答率ワースト3は以下の問題である。【問50】現在の天体物理学誕生の契機となった科学史上の業績を問うもの(正答率:8.2%)。【問32】火星地表での探査画像から、撮影した探査機を選ぶもの(正答率:13.5%)。【問54】金星の最大光度の頃の太陽・地球・金星の位置関係を図から問う問題(正答率:22.6%)。【問54】は、最大離角の頃がもっとも明るいと思い込んで、②を選んだ方が非常に多かった。
正答率の高かった問題は、【問20】系外惑星に生命が存在するために、現在もっとも重要な条件と考えられているものを選ぶ問題(正答率:95.5%)。【問2】太陽の黒点が周囲の光球よりも温度が低い原因を問う問題(正答率:90.5%)であった。4級から2級までの問題は、公式テキストを読み込めば合格できるように作られているが、2級となると、応用問題でつまずく受験者も少なくない。テキストだけなく、普段から天文関連書籍を読んだり、科学関連ニュースに目を通しておくと解答につながるヒントがみつかるだろう。

 

■1級

今回は、設問のうち4問が、問題として成立せず全員正解扱いとなった。今後の試験運営の課題として重く受け止め、この場を借りて、改めて深くお詫び申し上げます。
今回の1級合格率は5.3%。得点分布のピークは、40~49点が37.7%。50点~59点が32.5%。準1級の合格点となる60点以上70点未満は、1級受験者の9.6%であった。受験者数でみると、前回よりも、1級受験者数は2倍となった。特に、10代・20代の受験者が増えている。1級は難関で、合格者は40代以上がほとんどだが、若者のチャレンジ精神を称えたい。1級試験は過去6回開催されたが、女性で1級試験に合格され、天文宇宙博士の称号を手に入れられた方は、未だにおひとりのみである。
正答率の高かった問題を見てみよう。【問3】超新星の型で、見かけの等級から超新星までの距離が推定できる型を選ぶ問題(正答率:84.2%)。【問20】図示されたクェーサー3C 273のスペクトルから、その赤方偏移を問う問題(正答率:82.5%)。これらは、1級参考書である『超・宇宙を解く』を理解していれば、正答にたどり着ける問題である。
正答率の低かった問題は意外にも、【問33】月面探査レース「Google Lunar XPRIZE」に日本から唯一参加しているチームの日本初の月面探査ローバーの名称を問う問題(正答率:10.5%)であった。続いて、【問22】オリオン座付近の可視光の画像に星間ガスの分布をプロットした図から、星間ガスが何で観測したものかを問う問題(正答率:15.8%)であった。

 

■総括

個々のデータについては各級の講評のとおりだが、全体を見渡して気づくのは、(1)本検定の受験者が下は10歳未満から上は90歳以上まで、非常に幅広いスペクトルを示すこと。(2)受験者数のピークは10代と40代にあること(30代で少し下がるのは子育て世代のためだろうか)。(3)ただし、合格率は年齢によって極端に違わないこと。そして(4)女性の比率が多いこと。などが見て取れる。本検定も7回目を迎えて、それなりに広く定着してきた結果だろう。一方で、問題ミスが残る点については、作成者がより一層の注意をしなければならないと反省している。
さて、例年の総括にも書いてあることだが、本検定のココロは天文や宇宙に関わるあらゆるモノゴトについて徹底的に楽しんでいただきたいことに尽きる。そのため公式テキストは、単なる知識の羅列ではなく、驚くような宇宙の謎や予想外の知見そして最先端の発見などを、できるだけわかりやすく紹介する方針で執筆している。そして検定問題についても、当初は、斜め上をいくような意外な問題や、多少非常識でも興味深い問題を用意できればと考えていた。しかしながら、実際に7回まで進めてみると、やはり“試験”という観点からは厳格性が要求されるため、正確な知識を問う問題など当たり障りのない問題に落ち着きがちで、監修サイドでみて面白い問題があまり多くないのが残念なところだ。実際、監修サイドで面白いと思った問題は、最先端の話題や未知の問題などで、解答が単純な4択で定まらなかったりする。問いかけの仕方を工夫するなどして、より興味深く斜め上を行くような問題も出題するのが今後の大きな課題だろう。出題側も受験者の方々も楽しめるような天文宇宙検定に成長させていきたいものである。

2017年12月吉日
天文宇宙検定委員会

第7回試験問題へのご質問に対する回答No.3

1級問1について、御質問を頂戴しました。

委員との間で、質問と回答のやりとりがありましたので、

その経過も掲載し、回答いたします。

1級問1は全員正解問題といたします。

 

■1級・問1

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質問 1回目

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問1について、「M81の中心部で中性水素の21cm線が観測されないのはなぜか?」の問いに対し、ほとんどが水素分子で21cm線を出さないため、との回答でした。

解説に、星間ガスは密度が高くなると分子雲になるので中性水素原子の21cm線を出さないと考えられている、とありましたが、

①テキスト初版第1刷P201「楕円銀河、渦巻銀河のバルジ部分、そして棒渦巻銀河のバーを構成する星は、一般に赤色巨星と暗い主系列星であり、銀河の年齢と同じくらい古い星である。それに対し、銀河円盤は青く明るい星を含む多くの恒星と多量の星間物質(水素を主体とするガスと塵)からなっていて、星の形成が継続的に行われている領域である」の記述からすると、渦巻銀河のバルジ部分には、星間物質があるとは理解していませんでした。回答と解説からは、バルジ部分は高密度の分子雲があると読めますが、どちらが正しいのでしょうか?

②銀河中心部は種族Ⅱの星が多く高齢である、とありましたが、そこに密度が高い分子雲があるというのがちぐはぐに感じます。高密度の分子雲があれば、そこから星が生まれる確率が高いような気がします。バルジは本当に分子雲に満たされているのでしょうか?

③分子雲が星の近傍に漂っていれば、当然恒星の放射によりエネルギーが与えられ、高い運動エネルギーにより原子に乖離し、中性水素となるものが一定割合であるのではないかと思います。そうすれば、21cm線も出てくるような気がします。また、もし、全体としてバルジは分子雲が満たしているが、局所的に恒星の周りには分子雲がない、ということなら、そこは粒子密度の低い星間ガスが満たしているはずで、21cm線が出てきそう。(原文より一部抜粋改変)

 

 

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回答1

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まず、①で述べられているバルジとは、ご指摘のように、渦巻銀河の中心部にあり、球状、または楕円体状に膨らんだ部分で、ご指摘のように多くの古い星から構成されています。また、②で述べられているように、種族Ⅱの星が大部分です。一方銀河円盤は、薄い円盤状に星が分布し、種族Ⅰの星が大部分で、星間ガスも多く含まれており、星の形成も活発です。そして、渦巻銀河は、この2つが重なって構成されていることを、まずご理解ください。

 

次に、ガスの分布ですが、銀河円盤内であっても、銀河円盤の恒星の分布の厚さ(~1 kpc)に比べてきわめて薄く、恒星の分布のおよそ1/10ほど(~100 pc)しかありません。そしてそのガス円盤はバルジの内部を通って銀河中心付近まで続いています。バルジは立体的な構造をしており、そのほとんどの体積中にはガスは含まれていませんが、銀河円盤の赤道面付近には、バルジの中でもガスは存在します。

 

次に、星の形成が盛んなのは、銀河円盤内の渦状腕の部分です。ここでは銀河衝撃波が発生し、ガスが急激に圧縮され、星が生まれやすくなっていると考えられています。

分子雲が存在するだけでは、活発な星形成にはなりません。ガスを圧縮する何らかのきっかけが必要なのです。それが渦状腕では、銀河衝撃波と呼ばれるガスを圧縮する機構が働いていると考えられています(詳しくは、裳華房『活動する宇宙』6章などを参照)。渦状腕はバルジの部分から外に伸びていることが多いので、活発な星形成領域は銀河円盤部になります。

 

③についてです。中性水素の21 cm線は、水素が基底状態(電子のエネルギーが最も低い状態)にあるときに放射される電波です(『超・宇宙を解く』43節参照)。したがって、放射によるエネルギーが与えられた水素からは放射されません。水素がエネルギーをもらって電離すると、電離水素(HⅡ)となり、Hα線など輝線スペクトルを放射し、散光星雲として輝くことになります。

 

参考までに、ガスの分布を示すデータを添付します。渦巻銀河M101、M51、それに銀河系のものです。M81については、COの良いデータが見つからなかったので、他のデータで代用させていただきます。光と電波の画像は、同じ銀河では同じスケールにしてあります。

M101で右側の画像が小さいのは、中心部のデータしかないためです。銀河系のグラフは、水素分子と中性水素の表面密度(銀河面に垂直な方向にガスを足し合わせた単位面あたりのガスの量)をあらわしています。縦のスケールは対数スケールなので、1目盛りで値が10倍違います。一番上のなめらかな線は星を含めた表面密度になります。銀河中心に近い部分では、中性水素のおよそ10倍の水素分子があることが示されています。これらのデータを見ていただければ、中性水素は中心部で少なくなっており、分子雲は中心部の方が多いことがおわかりいただけると思います。分子雲が多ければ、当然その中では水素は水素分子になっていると考えられます。

 

 

 

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質問 2回目

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先日いただいたメールにありました、「そしてそのガス円盤はバルジの内部を通って銀河中心付近まで続いています。バルジは立体的な構造をしており、そのほとんどの体積中にはガスは含まれていませんが、銀河円盤の赤道面付近には、バルジの中でもガスは存在します。」について、M101、M51、天の川銀河などいろいろな銀河の事例をお示しいただいてありがとうございます。

ただ、両銀河とも、中性水素21cm線が中心付近にも分布しており、M81の分布とは異なりますね。

結論としては、ご紹介いただいたM51において、高密度分子雲がある中でも中性水素の21cmが出ていることが読み取れるので、一級試験1問目「M81中心部から21cmが観測されないのはなぜ」の回答「ほとんどが水素分子で、21cm線の電波を出さないため」はやはり誤っているように思います。

M81の中心部にガスがあったとしたら、密度が高まり分子雲になったとしても、M51のように中性水素の21cmも観測できるのではないでしょうか?

M81の中心部から21cmが観測されないのは、ガスが少ないからと考える方が自然ではないでしょうか?

同様の画像(M81の、HCN、COなどの画像)があれば理解できるのですが。

なお、

①M101では、中性水素の21cm線がバルジ内にも見えており、ほかにCOガスも見えています。ただ、中性水素の分布が内側に行けば少し薄くなっており、COの分布と異なって見えます。これは、中心に近づけば密度があがり、中性水素が水素分子ガスになったということでしょうか?一方で、バルジの剛体回転はバルジ内の密度がほぼ一定だから、という説明とそぐわないような気がしています。

 

②M51は、銀河の衝突により大量の水素供給があって、活動が活発になった銀河でしょうか?ガス成分が一気に銀河に流れ込んで、中心付近までいきわたったような雰囲気ですね。

 

③銀河系(我々の天の川銀河)のグラフでは、中心に向かってσHⅠH2の表面密度が一定で、σHⅠ表面密度が下がっていれば、中性水素が水素分子に代わっていると理解できますが、σHⅠH2もσHⅠも下がっているので、本当に水素分子に代わっているのでしょうか?両ガスの表面密度が、半径5kpcより内側では明らかに減っていきます。これはなぜ減るのでしょうか?運動性の高いガスは、より引力の強い内側により集まっていそうな気がするのですが、5kpcの内と外で何が違うのでしょうか。5kpcの内側あたりがいわゆるバルジ付近と思われますが、ガスの消費量がバルジ内外で大きく違ったりするんでしょうか?

 

ガスの供給で、種族Ⅱの星が種族Ⅰの星になったりするんでしょうか?ガスがともにあるから種族Ⅰ、ガスの供給が途絶えてしまうと種族Ⅱになるような気がします。

銀河は学べば学ぶほどわかりません。中途半端に学ぶからかとも思いますので、もう少し突っ込んで勉強してみたいと思います。(原文より一部抜粋改変)

 

 

 

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回答2

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ご指摘、ありがとうございました。

おっしゃるとおりのようです。M81の分子雲のデータを調べたのですが、M51などのように分子雲が多く存在するというデータは見つかりませんでした。アンドロメダ銀河(M31)もM81のように、21cm線が中心部で抜けていますが、やはり中心部には濃い分子雲はないようです。

 

一般に、渦巻銀河の21cm線はバルジの外側の銀河円盤部分で最も強く、中心部に行くにしたがって弱くなり傾向があり、それは水素分子になっていることが多いので、M81も同様と思いこみ、問題にしてしまったようです。M81では、そもそもガスが少ないというのが、21cmが抜けている理由ということによるようです。

 

では、なぜガスがなくなったのかということについては、次のように解釈しています。バルジが形成されたある時期に、星は大量に形成されましたが、ガスのほとんどが星になるということはなく、一定の割合で星になれなかったガスが残ります。

これは、星形成領域の周囲に見られる星雲の存在でも、そのことがわかります。しかし、星が進化し、超新星爆発などの活動により、残ったガスの大部分が銀河風となって、その領域から外部に放出され、ガスが少なくなってしまったという解釈です。

このような状況は、矮小楕円銀河などでガスが少ないという理由として考えられています。

 

このようなことから③の「全てのガスが星になってしまった」ということも、必ずしも正解ではないと考えています。

 

なぜ、M81やM31などのようにガスが少なくなってしまった銀河と、M51や銀河系など、中心部にも分子雲が存在する銀河に分かれるのかについては、その銀河の進化課程の違いでこのように分かれてしまったのではないかと思われますが、よくわかっていないと思われます。

 

したがいまして、この問題は正解がない不適切な問題であったとして、全員正解といたします。

 

あと、いくつかの質問にお答えしておきます。

 

> なお、①M101では、中性水素の21cm線がバルジ内にも見えており、

> ほかにCOガスも見えています。ただ、中性水素の分布が内側に行けば

> 少し薄くなっており、COの分布と異なって見えます。これは、中心に

> 近づけば密度があがり、中性水素が水素分子ガスになったということ

> でしょうか?

 

そのようなことだと思います。

ガスの大部分は水素なので(ガスの成分は、質量比で水素がおよそ3/4、ヘリウムが1/4、残りの元素を合わせてもおよそ2%程度)、COの分子は水素に比べると極端に少ないです。ですので、COの観測される部分には水素がたくさん存在します。

 

> 一方で、バルジの剛体回転はバルジ内の密度がほぼ一定だから、

> という説明とそぐわないような気がしています。

 

この剛体回転は、基本的に星の重力によるものです。

ガスの全質量は渦巻銀河では、星の質量のおよそ1/10程度で、ガスの寄与はあったとしてもごくわずかです。バルジは、星がほぼ球状に等密度に分布していることを表しています。したがって剛体回転とガスの分布には、矛盾はありません。

 

> ②M51は、銀河の衝突により大量の水素供給があって、活動が活発に

> なった銀河でしょうか?

 

確かに、衝突直後の銀河のようですが、大量の水素供給があったとは思えません。

銀河全体にガスが行きわたる時間がありません。渦巻状にガスが部分布しているので、もともとM51のもっていたガスと考えるのが普通です。

 

> ガス成分が一気に銀河に流れ込んで、中心付近までいきわたったような

> 雰囲気ですね。

 

銀河回転の衝突では、お互いのガスが衝突すると、そこで大規模な星形成が起こります。また、ガスは衝突によって速度が失われてしまいますが、星はすり抜けるので、ガスの濃い部分と星の分布がずれてしまうこともあります。M51は、渦状腕にガスが分布し、そこで星形成が活発に行われている典型的な渦巻銀河と考えられています。

 

> ③銀河系(我々の天の川銀河)のグラフでは、中心に向かってσHⅠH2

> 表面密度が一定で、σHⅠ表面密度が下がっていれば、中性水素が水素分子に

> 代わっていると理解できますが、σHⅠH2もσHⅠも下がっているので、

> 本当に水素分子に代わっているのでしょうか?

 

σHⅠH2 と σHⅠ の差が、σH2になります。

したがって、差があるということは、その差の部分がH2になっているということです。

ただ、お示しした図は、縦軸が対数スケールでとってあるので(log σ でプロットしてある)、注意が必要です。

例えば、5 kpc 付近では、log(σHⅠH2)~1、log(σHⅠ)~0.3くらいになっていますが、σの値にもどせば、σHⅠH2~10、 σHⅠ~2くらいになります。

したがって、HⅠ~2に対してσH2~8となり、多くがH2になっているということです。

 

> 両ガスの表面密度が、半径5kpcより内側では明らかに減っていきます。

> これはなぜ減るのでしょうか?

 

σHⅠH2が少しさがっているのは、おっしゃるように、5Kpcの部分でガスの密度がピークになり、その内側ではガスが少し少なくなっていることを意味します。

 

> 運動性の高いガスは、より引力の強い内側により集まっていそうな気がするのですが、

> 5kpcの内と外で何が違うのでしょうか。

 

「運動性の高いガス」の意味がわかりません。ただ、引力(銀河の重力)の強い部分にあるガスは、その重力に見合った速度で銀河回転をしているハズです。これはガスだけでなく、星も同じです。

 

> 5kpcの内側あたりがいわゆるバルジ付近と思われますが、ガスの消費量がバルジ内外で

> 大きく違ったりするんでしょうか?

 

銀河形成時(バルジ形成時)には、球状に分布していたガスから星が大量に形成されたと思われます。これは銀河初期に生まれた星で、種族Ⅱの星です。ただ、すべてのガスが星になるわけではありません。残ったガスは、徐々に銀河面に集まり、銀河のガス円盤をつくります。その中で星が生まれます。これが種族Ⅰの星です。種族Ⅱの星は、銀河形成時で、まだガスが球状にひろがっていたときに生まれた星、種族Ⅰの星は、その後、ガス円盤が形成されたあとに生まれた星ということになります。ガスの消費量がバルジ内外で大きく違ったりすることはないと思いますが、銀河の進化の中で、時間的に大きく違った時期はあると思います。現在では、渦巻部分で盛んに星がつくられていますので、そこのガス消費量が多いと思います。

 

> ガスの供給で、種族Ⅱの星が種族Ⅰの星になったりするんでしょうか?

 

ガスの供給で種族Ⅱの星が種族Ⅰの星になることはありません。

ただ、星の進化の段階で、種族Ⅱの星が超新星爆発や惑星状星雲などによってガスを宇宙空間にまき散らせば、そのガスから次の世代の星(種族Ⅰの星)が生まれることになります。種族Ⅰの星は、過去に超新星爆発などで重元素(水素、ヘリウム以外の元素)が増えたガスから生まれた星です。

 

> ガスがともにあるから種族Ⅰ、ガスの供給が途絶えてしまうと種族Ⅱになるような気が

> します。

 

そのようなことはありません。種族Ⅰの星と種族Ⅱの星は、何で区別されているかといえば、星を構成するガスの中の重元素量です。太陽と同程度(約2%)の星は種族Ⅰ、極端に少ない(たとえば太陽の1/10程度以下)の星は種族Ⅱの星になります。宇宙初期には水素とヘリウムしかなかったので、初期の星は重元素は極端に少ないです。その後、星の進化で、星の内部で重元素が合成され、超新星爆発で宇宙空間にまき散らされ、重元素が徐々に増えてきて、そのようなガスから星が生まれたのが種族Ⅰの星となります。生まれた時期が違うと考えればよいと思います。

 

 

以上です。

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第7回試験問題へのご質問に対する回答No.2

解答速報を受けて頂戴したご質問には、ブログにて御回答申し上げましたが、

その回答に対して、さらに御質問を頂戴しました。

「2級・問6」と「1級・問40」について、以下の通り御回答申し上げます。

 

■2級・問6
【質問】
設問には、「可能性が最も高いもの」とありますが、

2級公式テキストのどこに最も可能性が高い旨記載されているのでしょうか?

また、可能性は確率とも捉えられますので、

回答候補の確率(可能性)はそれぞれ何パーセント程度と考えられる結果、

(4)が答えになったのか、ご教示くださいますよう、お願い申し上げます。

(ご質問の原文より抜粋・一部改変)

 

【回答】
ご指摘、ありがとうございます。

さて、星間塵については、P85・プラスワン下段の「星間空間にあるもの」のところで、

「星間塵は固体微粒子であり、その大きさは約0.2μm以下である。

ケイ酸塩鉱物(シリケイト)や石墨(グラファイト)からなるといわれているが、

必ずしも明らかでない。』と記載されています。

「必ずしも明らかでない」という文言はありますが、

この可能性が最も高いということで、具体的な物質の表記になっています。

揮発性物質が凍っていることも考えられなくはないですが、

そのような物質だけが純粋に存在しているとは考えにくく、

存在しているとしても、ケイ酸塩鉱物や石墨の塵に混じって存在していると考えられ、

白い煙を出す(②)やサンプルが蒸発してなくなってしまう(③)ことは考えにくいということで、

④を正解にしています。

なお、可能性についての具体的数値は提示できませんが、④以外の可能性はきわめて低いと考えています。

なお、星間空間での元素の存在比(個数比)は、水素とヘリウムを除けば、多い順に、

酸素>炭素>窒素~ネオン>マグネシウム~ケイ素~鉄(~はぼぼ同じ)の順になっており(図表5-10)、

結合しやすい物質としてケイ酸塩(主にケイ素と酸素)、石墨(炭素)があり、

これらが星間塵をつくっていると考えられています。

 

■1級・問40
【質問】

出題のスペクトル図は『超・宇宙を解く』P28図6.4で紹介されている3C 273で、

このスペクトルがシンクロトロン放射でのスペクトルであることがはっきりしていれば、

(1)のシンクロトロン放射という選択肢で正しいと思います。

しかしながら、現在のところ、3C 273からのスペクトルはシンクロトロン放射、

あるいは逆コンプトン過程で形成されていると考えられており、その理由としては、

スペクトル観測からはべき乗型スペクトルを発生させる機構からの放射であるとまでしか

推定できないからではないでしょうか?

出題の図のようなスペクトルは、なにもシンクロトロン放射からのスペクトル以外にあり得ないわけではなく、

べき乗型スペクトルを発生させる、シンクロトロン放射や、逆コンプトン過程からでも形成されるわけです。

換言すると、シンクロトロン放射を含む、べき乗型スペクトルを発生させる機構であれば、

このようなスペクトル図になるわけです。

少なくとも私は、(1)にシンクロトロン放射、という選択肢があって、

(4)にシンクロトロン放射や逆コンプトン過程などべき乗型スペクトルを発生させる機構、という選択肢がある中で、

図のようなスペクトルを形成するのはどのような機構からか、との設問に対して答える際に、

「3C 273からのスペクトルはシンクロトロン放射、あるいは逆コンプトン過程で形成されていると考えられている」

とのテキストの記述を思い出し、逆コンプトン過程からの可能性もあるので、(4)を選んだのです。

(解答速報に)「「べき乗型スペクトル発生機構」という呼び方はない」、との指摘もありましたが、

選択肢には専門用語として確立したものだけを並べたとの限定はないので、

一般論としての言い方も含めて表現しているとの理解では誤りとまで言えるのでしょうか?

このように考えると、(1)が正解、というのが腑に落ちないのです。(ご質問の原文より抜粋・一部改変)

 

【回答】
「図のような両対数のスペクトル図で直線状になるスペクトルは、どのような機構で形成されるか。」

という出題文にあるように、ここは、あくまで例示として出したもので、

3C273自体のスペクトル発生機構を尋ねている題意ではありません。

また同様に、機構を尋ねているので、

選択肢の中に、シンクロトロン放射と逆コンプトン過程の両方があれば、

どちらも正解になりますが、シンクロトロン放射しかないので、

①が正解ということになります。

また仮に、図(3C273)のスペクトルを形成している機構を尋ねた問題だと、

②の黒体輻射もスペクトルの一部を形成しているので正解となります。

視覚的にわかりやすくしようと例示したため、

3C273の具体的なケースまで、活動銀河の章等まで含め、

よく勉強されていると、かえって混乱を招いてしまいましたが、

あくまでも、べき乗型スペクトルの例示として出しているということで、

ご了解いただきたいところです。

しかしながら、いただいた御指摘も理にかなっており、

(4)の「べき乗スペクトル発生機構」という専門用語はありませんが、意味として、

(4)を日本語として「べき乗型スペクトルを発生させる機構」と捉えることもできますので、

選択肢として不明瞭であったとの結論に至りました。

よって、問40につきましても全員正解とさせていただきます。

 

第7回 天文宇宙検定試験を台風の影響で欠席された方々へ

このたびの台風で被害にあわれました方々に、心よりお見舞い申し上げます。台風の影響で、第7回天文宇宙検定試験にご参加いただけなかった方々へ、ご報告申し上げます。

当日の交通機関の乱れ等により、試験への参加を見送られた方々への受験料の返金・次回への繰り越しにつきましては、お申し込み時にご了承いただきました「お申し込み時の注意事項」に記載のとおり、応じかねますので、何卒ご了承のほどお願い申し上げます。

【お申し込み時の注意事項】
https://www.kentei-uketsuke.com/sys/astro-test/entry
※赤字部分をご参照ください。

その他、ご不明な点がございましたら、天文宇宙検定事務局までお問い合わせフォーム(https://www.kentei-uketsuke.com/contacts/person)からご連絡をお願いします。

第7回試験問題へのご質問に対する回答

本日現在、試験問題について、いくつかのご指摘・ご質問を頂戴しております。
ありがとうございます。
以下のとおり、回答申し上げます。

■2級・問21
次のうち、スケールの比率が最も小さいものはどれか。
(1)銀河系サイズとオールトの雲サイズの比率
(2)人間サイズと富士山サイズの比率
(3)宇宙全体サイズと宇宙の大規模構造の比率
(4)銀河団サイズと星団サイズの比率

【正答】
(3)→全員正解

【解説】
この問題では、物体や天体の大まかなサイズ・スケールの比率を問うている。とらえ方によって10倍以上の違いはでるが、大づかみに理解するのが重要である。また指数表現も使うことで慣れておくとよい。(1)銀河系は1020mのサイズ、オールトの雲は1016mのサイズなので、比率は104m(1万)倍。(2)人間は、10mのサイズ、富士山は104mのサイズなので、比率は104(1万)倍。(4)銀河団は1022mのサイズ、星団は1018mのサイズなので、比率は104m(1万)倍、である。これらはとらえ方や個別の天体によってサイズは10倍程度は軽く違うこともある。一方、(3)宇宙全体のサイズ 1026mと、大規模構造サイズ 1024mは100倍程度であり、他の天体や物体同士のサイズ・スケールの比率より明らかに小さい。したがって、正答は(3)である。

【質問】
正答は(3)宇宙全体サイズと宇宙の大規模構造の比率となっていますが、「観測可能な宇宙のサイズ」との比率であれば正答例のとおりで正しいと思いますが、宇宙そのもののサイズは無限と考えられるため、問題どおりの記載では(3)は正答になり得ないのではないかと思っております。上記についてどう考えればよろしいでしょうか。

【回答】
選択肢(3)の「宇宙全体サイズ」について、(観測可能な)宇宙全体サイズという意図で出題いたしましたが、選択肢として正確な表現ではありませんでしたので、この問題を全員正解といたします。

■2級・問37
日本は江戸時代まで、中国の暦を輸入して使用してきた。これについて間違って述べたものはどれか。
(1)白村江の戦いで中国に敗れた後、中国の暦を採用した
(2)宣命暦は800年以上も採用され続けていた
(3)高橋至時による寛政の改暦によって初めて日本独自の暦が採用された
(4)中国の授時暦は日本独自の貞享暦を作る際に参考にされた

【正答】
(3)

【解説】
日本独自の暦として最初に採用されたのは、貞享暦である。これは、中国の授時暦を参考にして渋川春海が作った大和暦で1684年に採用され、年号にあわせて貞享暦と呼ばれた。寛政の改暦は、貞享暦より100年後の1797年に高橋至時らが担当した。

【質問】
正答が(3)となっておりますが、(2)も正答となると思います。(2)の文章で、「宣命暦」と表示されておりますが、公式テキストは「宣明暦」と記載されております。

【回答】
選択肢(2)「宣命暦」は「宣明暦」の誤植でした。訂正してお詫び申し上げます。

■1級・問8
宇宙には重力は及ぼすものの光などの電磁波を放射しない暗黒物質(ダークマター)が存在している。現在、ダークマターの最も有力な候補と考えられているものはどれか。
(1)冷たくなった白色矮星や小惑星などのバリオン物質
(2)ブラックホール
(3)ニュートリノ
(4)未知の素粒子

【正答】
(4)→全員正解

【解説】
マイクロ重力レンズなどの観測から、白色矮星やブラックホールなどの巨視的な天体はダークマターの一部ではあるかもしれないものの、主な候補としては絶対量が足りないことがわかっている。またダークマターが銀河や銀河団などと同じ広がりをもっていることなどから、ニュートリノも不適切である。現在可能性として残っているのは、アキシオンやニュートラリーノなど、素粒子の標準モデルには含まれない未知の素粒子である。

【質問】
正答は(4)未知の素粒子となっていますが、『超・宇宙を解く』初版1刷P208の1行目に、「このダークマターの正体については、ニュートリノ、未知の素粒子、ブラックホール、暗い小天体(中性子星、白色矮星、褐色矮星、惑星)など、いくつかの候補があがって来たが、そのほとんどが否定的な結果しか得られておらず、現在もまだ謎のままである」との記述があり、正誤表もありません。テキストを信頼して勉強した私としては、選択肢なしとしか思えませんし、まだ未知の素粒子が有力候補として学会で認知されているとも思えません(一部の学者・研究機関が主張しているのみ)。

【回答】
選択肢の(1)(2)(3)は、ほぼ否定されているため、消去法から正答は(4)未知の素粒子となりますが、未知の素粒子についても、まだ解明されていないため、解なしとも受け取れます。そのため、この問題を全員正解といたします。

■1級・問19
2017年は、パルサーと呼ばれる天体が発見されてから50年になる。パルサーは、高速に回転する星から、灯台のサーチライトのように規則的に電波を発している。パルサー発見に関するもののうち、誤っているものを選べ。
(1)第一発見者のジョスリン・ベルは学生だったが、指導教授のアントニー・ヒューイッシュとともにノーベル物理学賞を受賞した
(2)規則的な電波の原因を宇宙人からの信号だと考えた発見者は、信号を「緑の小人1号」と呼んだ
(3)パルサーが中性子星と考えられている理由は、小さくて硬い物質でなければ高速回転を説明できないからである
(4)現在では20万個以上が発見されていて、パルスの周期は1.4ミリ秒から8.5秒のものまで知られている

【正答】
(1)→全員正解

【解説】
1974年のノーベル物理学賞は、電波天文学の開拓者という功績でマーティン・ライルとヒューイッシュ二人への贈賞だったが、パルサーに関連してはヒューイッシュだけであった。

【質問】
誤っている文章は(1)が正答とのことで、これは確かにそうですが、(4)も誤っている文章ではないでしょうか。(4)には、20万個以上が「発見」されていると書かれていますが、20万個というのは銀河系内に存在すると予想される数であって、実際に発見されているのは2000個程度なのではないでしょうか。そうするとこの文章は誤りでこちらも正答ということになります。

【回答】
選択肢(4)「現在では20万個以上が発見されていて」は、「現在では銀河系内に20万個以上あると予想されていて」の間違いでした。正答が(1)と(4)になるため、本問題を無効とし、全員正解にいたします。

■1級・問40
図のような両対数のスペクトル図で直線状になるスペクトルは、どのような機構で形成されるか。
(図は割愛、解答速報でご確認ください:http://www.astro-test.org/astro-test/answer_flash7_2017/)
(1)シンクロトロン放射
(2)黒体輻射
(3)束縛-束縛遷移
(4)べき乗型スペクトル発生機構

【正答】
(1)

【解説】
磁場の中に相対論的速度で運動する高エネルギー電子が飛び込んでくると、磁場によって軌道を曲げられ加速運動を起こし、その結果、連続的な電磁波が放射される。これをシンクロトロン放射(磁気制動放射)と呼ぶ。シンクロトロン放射は一般的に、図のような、べき乗型スペクトルになる。熱せられた物質から放射されるのが黒体輻射で、黒体輻射は物質の温度に対応したスペクトルのピークをもつ。原子内のエネルギー状態の変化で生じる束縛-束縛遷移では、輝線または吸収線が生じる。(4)は図のようなスペクトルの形状をべき乗型スペクトルと呼ぶが、べき乗型スペクトル発生機構という呼び方はない。

【質問】
正答は(1)シンクロトロン放射となっていますが、出題のスペクトル図は『超・宇宙を解く』P28図6.4で紹介されている3C 273で、『超・宇宙を解く』P211に「このべき乗型スペクトルはシンクロトロン放射、あるいは逆コンプトン過程で形成されていると考えられている」と記載されています。『超・宇宙を解く』に準拠すれば、正答は「シンクロトロン放射あるいは逆コンプトン過程」となり、それらを総称して「べき乗型スペクトル発生機構」とまとめざるを得ないのではないでしょうか。『超・宇宙を解く』に「シンクロトロン放射あるいは逆コンプトン過程」と書いてある以上、シンクロトロン放射だけを正答としては誤りなので、「べき乗型スペクトル発生機構」とまとめざるを得ないと考えましたがいかがでしょうか。

【回答】
シンクロトロン放射“と”逆コンプトン過程ではなく、シンクロトロン放射、あるいは逆コンプトン過程のように、あるいは、で並んでいる表現なので、日本語表現からは片方だけで成り立つものであり、シンクロトロン放射だけでも正答になります(他の選択肢に、逆コンプトン過程があれば、いけませんが)。したがって、問40の正答は現状のままとさせていただきます。