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〇第14回試験問題へのご質問に対する回答

第14回試験問題について、いくつかのご指摘・ご質問を頂戴いたしました。ありがとうございます。

以下のとおり、回答申し上げます。
質問者からの文章は、一部を割愛させていただきました。ご了承ください。
なお、2級問8につきましては、正答が導き出せないことから、当該問題につきましては受験者全員を正解といたします。
また、問20の選択肢②につきましては、新しい知見が発表されてきていることを鑑み、
②を選択した場合も正答とします。
受験者の皆さまにはご迷惑をおかけいたしましたことを、深くお詫び申し上げます。

■2級・問8

【問題】
十干十二支(じっかんじゅうにし)について正しく述べたものはどれか。
①暦が50年で一巡りすることを還暦という
②十干十二支の組み合わせでは、60以上の数を表すことはできない
③十二支に動物名を当てているのは日本だけである
④真夜中を「ねの刻」というが、十二支とは関係がない

【正答】

【解説】
十干十二支で順序数をつくる場合、十干と十二支を「甲子」、「乙丑」、「丙寅」のように、それぞれ最初から1つずつ順に組み合わせていく。そのため組み合わせは60通りしかなく、60以上の数を表すことはできない。
また、60歳になると生まれた年の十干十二支に還るため、60歳になることを還暦という。
干支を使用しているベトナムなどでも動物名の振り当てはあるが、猫や山羊、豚など日本と異なる動物名が出てくる。

【質問】
・選択肢②は、60以上だと60を含むので61以上の数を表すことができない、でなければおかしくありませんか?
・解答は②となっていましたかが、60以上には60も含むのではないでしょうか?

【回答】
ご指摘いただいたとおり、「60以上」は間違いで、正しくは「61以上の数を表すことはできない」となります。
正答がない問題となりますため、全員正解といたします。

■2級・問20

【問題】
アミノ酸や核酸などの有機分子には、D型とL型がある。地球の生体はL型のアミノ酸だけを使っている。これについて述べた文で間違っているものはどれか。

①化学合成するとL型の方がD型より倍以上生成されやすい
②生体はD型のアミノ酸を吸収することはできない
③生体はD型の核酸のみを使っている
④生体の核酸は片方の型だけが使われることで二重らせん構造がとれる

【正答】

【解説】
アミノ酸や核酸などの有機分子を化学合成すると、L型もD型も等量が生成される。L型とD型はそれぞれ同じ型のものが結合して、より複雑で巨大なタンパク質やDNAを作っている。なので、L型のアミノ酸でできた生体は、L型のアミノ酸のみが使用できる。D型が来ても使えない、すなわち吸収できないのである。
ただ、そうなら、D型のアミノ酸ばかりの生体が半分あっても不思議ではないが、それはほとんどない。その理由として考えられているのが、アミノ酸は特定の円偏光した光の元では、片方の型ばかりが生成される性質があり、そういう環境があったことは考えられる。ただ、地球上ではそれは考えにくいので、宇宙空間でそうした環境があり、そこでできたL型アミノ酸が降ってきて、地球に生体を作ったという説もある。

【質問】
正解は①となっておりましたが、②の「生体はD型のアミノ酸を吸収することはできない」の記載も実際は間違っていて、生体はD型アミノ酸を吸収できるとの研究の事実が多くありますので、②も正解にすべきと考えます。この根拠については、実際に生体はD型アミノ酸を吸収しているとの研究が数多くございます。

【回答】
当該問題については、生命科学分野の学識経験者を交えて天文宇宙検定委員会で議論を重ねました。結果、最新の研究知見では、生体内のD型アミノ酸の存在は広く認知されている事実であり、その機能について研究が進められているのが現状であるとの見解に達しました。よって、選択肢として挙げた「②生体はD型のアミノ酸を吸収することはできない」を正しいと断じることが困難であると判断し、当該問題については、①と②を正答といたします。
ご指摘いただいた内容については、次回の改訂時に参考にさせていただきたく思います。

■2級・問39

【問題】
宇宙線についての記述のうち、間違っているものはどれか。

①宇宙空間を飛び交う高エネルギーの電磁波である
②超新星残骸や銀河中心、太陽などから発せられている
③地上での被曝線量(自然放射線量)は、1年間で約2.4ミリシーベルトである
④国際宇宙ステーションに滞在中の宇宙飛行士は、1日あたり平均して地上での約半年分を被曝する

【正答】

【解説】
宇宙線は宇宙空間を飛び交う陽子やアルファ粒子、リチウム、ベリリウムといった高エネルギーの粒子線である。

【質問】
正解は①となっておりましたが、③の「地上での被爆線量(自然放射線量)は、1年間で約2.4ミリシーベルトである」の記載は間違っているとして正解にすべきと考えます。日本国内での被爆線量(自然放射線量)は1年間で約2.1ミリシーベルトと環境省の下記WEBサイトの資料で記載されております。
①の「宇宙空間を飛び交う高エネルギーの電磁波である」が間違いで正解となっておりますが、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の資料によれば、「実際、宇宙放射線(もしくは、宇宙線)と呼ばれる。その中には地上では通常存在しない種類の放射線も多く含まれる。専門的に詳述すれば、宇宙放射線は宇宙環境に存在する電離放射線であり、X 線やガンマ線等の電磁波の他、陽子、中性子、電子、アルファ線、重粒子等の粒子線からなる」と記載されております。宇宙線にはX線、ガンマ線等の電磁波が含まれるとなっておりますので、①は正解ではないと考えます。

【回答】
(1)選択肢③について
公式テキスト(P.132)掲載の「地上での被曝線量(自然放射線量)」は、「約2.4ミリシーベルト」と明示しておりますとおり概数であり、環境省の提示する数値に明瞭な差異があるものではございません。したがって③を間違い(正答)とはできません。
(2)宇宙線について
公式テキストでは、「宇宙線は、宇宙空間を飛び交う高エネルギーの粒子線のこと(P.132)」と解説しています。ご提示いただいたJAXAの宇宙線に関する見解にもあるとおり、宇宙線とは、X 線やガンマ線等の電磁波の他、陽子、中性子、電子、アルファ線、重粒子等の粒子線からなるものととらえれば、選択肢「①宇宙空間を飛び交う高エネルギーの電磁波である」は、誤った記述と解することができますので、正答は①のみといたします。

3級テキスト【2021年~2022年版】「天体の時刻」への質問&解答

『天文宇宙検定公式テキスト3級≪2021-2022年版≫』の

2章p32の記述内容について、ご質問をいただきました。

以下に回答いたします。

【質問】

3級公式テキストP32の平均太陽時と恒星時の変換のところですが、

「回帰年= 365.2422 平均太陽日

= 366.2422 恒星日

になる。

上記のことから、ある時間間隔を恒星時で測った値と平均太陽時で測った値の比1 + μは、

1 + μ= 1 平均太陽日/ 1 恒星日

= 366.2422 / 365.2422

= 1.0027379」

下から2行目で、平均太陽時と恒星日がなぜ逆になるのかわかりません。

【回答】

テキストの式ですが、1式と2式の間が省略されているのでわかりにくくなっていました。

内容は、恒星時のほうが太陽時より、1日約4分ほど進みが早いということです。

 

1+μ=1平均太陽日/1恒星日・・・・・・1式

=366,2422/365.2422・・・・・・2式

=1.0027379・・・・・・・・・・3式

 

とテキストで表現されていますが、

1式と2式の間が省略されていてわかりにくくなっていました。

 

テキストにある上記の式の上に、以下の式が記述されています。

 

1回帰年=365.2422平均太陽日=366.2422恒星日   ……………… (1)

するとここから

1平均太陽日=(366.2422/365.2422)恒星日 ……………… (2)

と表すことができます。

 

つまり、(2)から1平均太陽日=(366.2422/365.2422)恒星日ですので

これを1式に入れると

=(366.2422/365.2422)恒星日/ 1恒星日 (3)

この両辺を1恒星日で割ると

=366.2422/365.2422

=1.002739

となります。

 

(3)が省略されていたので、数値が逆ではないかと思われたかと思います。

 

1回帰年は,地球が太陽の周りを1周する時間で,1回帰年=365.2422太陽日 となります。

暦の1年には端数はないので,暦では,およそ4年に1回(正確には,400年に97回)うるう日を入れて,年と日のずれを調整しています。

 

次に,1恒星日(恒星が南中して,次に南中するまでの時間)は,

1平均太陽日(太陽が)よりおよそ4分短い)≒23時間56分(平均太陽時で測って)です。

およそ4分短いのは,地球の公転運動のため,

平均太陽が,地球が自転している間に黄道をおよそ1°ほど東に移動するため,

1平均太陽日のほうが1恒星日よりおよそ4分ほど長くなります。

 

これが,1年間(1回帰年の間)続くと,

太陽に対して365.2422回回転することになりますが,

恒星に対しては,公転により1回転分が加わり,

(365.2422回+公転による1回分)=366.2422回回転することになります。

したがって,1回帰年=366.2422恒星日となります。

 

恒星時の方が早く進みます

(太陽時に比べて1日におよそ4分;より正確にはおよそ3分56秒),

また、その進む割合を 1+μ で表します。

 

具体的なμの計算方法は,1日(24時間)あたりおよそ 3分56秒 進むので,

24時間3分56秒(太陽時)を24時間(1太陽時)で割ることで計算できること

(ここでは太陽時で表していることになりますが)

第13回天文宇宙検定 受験者データおよび講評

2022年5月29日に開催した第13回試験について、合格率・平均点などの受験者データと、検定委員会による講評をアップしました。
「第13回天文宇宙検定解答速報」と合わせてご覧ください。

第13回天文宇宙検定(2022年5月29日開催)

●最年少受験者
1級・準1級 10歳
2級 7歳
3級 7歳
4級 5歳

●最高齢受験者
1級・準1級 73歳
2級 89歳
3級 75歳
4級 67歳

●受験者男女比率
1級:男性 67.5%、女性 32.5%
2級:男性 67.4%、女性 32.6%
3級:男性 46.4%、女性 53.4%
4級:男性 53.4%、女性 46.6%

●合格率
1級:3.9%
2級:48.7%
3級:71.6%
4級:81.0%

●最高得点
1級:77点
2級:96点
3級:97点
4級:98点(2名)

●平均点
1級:47.7点
2級:67.3点
3級:67.1点
4級:70.8点

 

○第13回天文宇宙検定講評

■4級
今回の4級試験の合格率も前回同様に80%を超えた。10歳未満と10代で4級受験者の5割を超え、親御さんと家族で受験されるほほえましい風景も馴染みのものとなってきた感がある。合格率だけをみると、10歳未満では7割を切っており、小学校低学年にはなかなか手ごわい試験であることには変わりはないように思われる。受験者の男女比は今年も見事にほぼ半々であった。

さて、4級試験で正答率が9割を超えた問題は1以下の2問だけであった。
【問3】日本において、1年のうちで一番夜が長い日を問う問題(正答率93.2%)。正答は「冬至の日」。祝日になる春分・秋分の日に対し、夏至・冬至は日常生活でなじみの薄い日かと思われるが、4級では頻繁に出題される定番問題ゆえか、高い正答率となった。

【問13】まっすぐうでをつき出だして、じゃんけんのグーをしたときのにぎりこぶしの角度は約何度か?という問題(正答率90.1%)。正答は約10°。試験問題にも図が添えられているが、『4級公式テキスト』では、星空観察をするときに便利な手を使って角度を測る簡単な方法をいくつか紹介している。これを知っていれば、キャンプなどで友だちに星座を教えるのも「こぶし1個分(10°)上の星」などと教えられる。

4級で唯一、正答率が2割を下回った問題は以下の問題。
【問22】宇宙人へのメッセージとして、男女の絵がえがかれた金属プレートをつけて、今も宇宙を旅している探査機の名前を問う問題(正答率17.3%)。正答はパイオニア10号。4級は10代の受験者が過半数で、50年も前に打ち上げられた探査機の名前は混同しやすいのか、回答は割れてしまい、正答率が低かった。

そのほか正答率が低かった問題としては、【問30】太陽の自転速度について正しいものを選ぶ問題(正答率34.7%)。正答は北極・南極付近で約30日、赤道付近で約25日。太陽が巨大なガスでできているので、赤道付近の方が回転が速いことを理解していれば正解をみちびくことができる。

次に正答率が低かったのは【問19】プレアデス星団などの散開星団についての正しい記述を選ぶ問題(正答率44.9%)。正答は、「星雲のなかでいっせいに生まれたきょうだい星たちである」。すばるという名前でも有名なプレアデス星団は比較的若い星々がいっしょに生まれたきょうだいであると知ってみれば、ただ『きれいだなぁ』とみるだけで終わるより感じ方も違ってくるのではないだろうか。すばるは、肉眼でもぼんやりと星が集まっているのがわかる星団。星空がきれいなところへ冬に出かける機会があったらぜひ探してみてほしい。さらに、双眼鏡でみると星がぎゅっと集まって輝いているのをとらえられる。プレアデス(すばる)については美しい姉妹のギリシャ神話も有名。オリオンのわがままぶりが描かれているお話のひとつだ。興味があればぜひ読んでもらいたい。

 

■3級
前回、前々回と80%前後であった合格率が、今回は70%前半まで下がった。今回は10代・20代の受験者が5割を超え、例年、合格率の高い実年層の受験者が少ないという受験者構成が影響したのかもしれない。10歳未満の合格率は52.4%、10代の合格率は58.4%と低調であった。3級受験者の男女比は女性が若干高めであることは変わらなかった。

正答率が9割を超えた問題は、次の3問。
【問12】月がどのようにしてできたのかについて、現在、一番有力とされている説を問う問題(正答率94.6%)。親子(分裂)説、捕獲説、双子説、巨大衝突説など数ある中で、巨大衝突説が最有力とされている。しかし、近年は複数衝突説なども有望視されているそうだが、謎は多く、今後の論争の行方が注目される。

【問44】皆既月食中の月が「赤い月」となるのはなぜか(正答率92.0%)。正答は、「地球の大気を通過した太陽光に照らされるから」。地球大気を通過する際に太陽光の青い光が散乱され、残った赤い光が照らすからであるが、その際、月から地球をみると地球による日食がみられるという。

【問17】1984年公開の小松左京原作の映画『さよならジュピター』のジュピターとはどの天体かを問う問題(正答率90.9%)。惑星のさまざまな言語での呼び名については3級で学ぶが、身の回りを見わたすと、会社名・化粧品名・アニメキャラクターなどいろいろなものにその名が冠されていることに驚くだろう。

次に、正答率が3割を下回った問題は以下の3問であった。
【問34】平均太陽日と恒星日は、1日につき、何分の違いがあるか(正答率20.2%)。正答は、④平均太陽日が恒星日より約4分長い。ほんのわずかの差であるが、近くにある太陽と遠い恒星のどちらを基準にするかで生まれる違いである。3級は2級に比べて計算問題はあまり出題されないが、天文用語やその用法などについての設問が時折出題される。今回の場合、問34がそれに該当するが、例年、この種の問題は正答率が低い傾向にある。

【問50】世界に残る創世神話のうち、世界の始まりは卵のような形であったとしている神話はどれか(正答率23.2%)。正答は中国の神話。世界にはさまざまな創世神話があり、個性的でユニークな世界観を知れば知るほど、古代の人々の想像力には感心させられる。一方で、世界の最初は混沌とした状態であったというのが、世界中でお定まりである点もなんとも面白い。神話の魅力を伝える本は数多いのでぜひ一度手に取ってみていただきたい。

【問22】プロクシマ・ケンタウリ星のプロクシマの意味を問う問題(正答率24.5%)。この星が、3重星であること、太陽から最も近い恒星であることを覚えていれば、また、恒星の略称の付け方の規則性を理解していれば、選択肢が狭められていくだろう。

今回の試験では、全員正解となった問題が1問発生してしまった。受験者のみなさまにはお詫び申し上げます。

【問31】2021年12月25日に打ち上げが成功した宇宙望遠鏡の略称を問う問題は、テキストに未掲載であったため、全員正解とした。JWSTは1兆円以上をかけた一大プロジェクトで、その成果として2022年になってその撮像画像を見られるようになった。専門家の予想をしのぐ画像の鮮明さは、これから我々にどのような世界をみせてくれるのか楽しみである。

 

■2級
2級の出題問題の水準は、高校地学で学ぶレベルであり、この2、3年の合格率は約38%である。
今回の合格率48.7%は過去3番目に高いもので、第1回の56.4%に次ぐものとなった。受験者層は10代(23.8%)、20代(27.0%)で過半数を占め、50代(14.3%)、40代(12.6%)がそれに続く。合格率をみると、60代以上の層が5割を超えている(60代51.4%、70代62.5%、80代以上66.7%)。平均点は67.3点で、得点分布は70~79点が24.5%と最も厚かった。最高得点は96点で、意外にも2級試験では満点を獲った方はまだいない。

(第13回2級試験の合格率は、「過去2番目に高い」ではなく「3番目に高い」の誤りで、第6回の63.8%、第1回の56.4%に次ぐものでした。訂正してお詫び申し上げます。2022/10/26更新)

 

正答率が高かった問題をみてみよう。

【問1】宇宙の階層構造において、サイズの大きい順に並んでいるものを選ぶ問題(正答率95.7%)。混乱を招くような選択肢はない素直な問題であった。

【問10】図中に示される領域名を選ぶ問題(正答率94.3%)。図とは公式テキストに掲載されている「太陽系とグリーゼ581のハビタブルゾーンの比較図」。親星の質量に応じて、水が液体として存在できる領域を表したもので、ハビタブルゾーンを視覚的につかめるように作図されている。地球の位置が奇跡的なものであると感じさせる印象的な図でもあり、正答率も高かった。

【問7】写真の銀河のタイプを選ぶ問題(正答率93.2%)。公式テキスト掲載の「ハッブルの音叉型分類」の図を思い浮かべられれば、写真の銀河のタイプが分類できる。視覚的に銀河をおおまかに分類するというおなじみの図からの出題とあって正答率が高かった。

【問18】古い天体観測の記録の文献の抜粋からそれぞれどのような天体現象を表しているか正しい組み合わせを選ぶ問題(正答率90.4%)。文献はすべて漢字なので一見すると難しそうだが、歳星が木星を指すことと、客星が彗星や新星など突然現れた星を表すという知見があれば正答にたどり着ける。

【問2】太陽の黒点が、周囲の光球よりも低温になっている理由を問う問題(正答率90.0%)。これは強い磁場の影響で熱の輸送が妨げられているためで、黒点が生まれる原因とも関連して記憶されていれば、他の選択肢が誤りであることに気づくことができるだろう。

正答率が低かった問題は、【問54】さまざまな星のスペクトルの図から、486 nmの波長でみられる強い吸収線が何かを問う問題(正答率14.3%)。波長の長いものから順番に、Hα線、Hβ線、Hγ線、Hδ線と水素原子のつくる吸収線は目立つ。図でも左から順に縦に暗線が見て取れる。正答に辿り着くには、それぞれの波長が何nmかを把握している必要がある。

【問46】現在その温度がおよそ3 Kである宇宙背景放射のピークの波長はどの程度か問う問題(正答率23.0%)。そもそも宇宙背景放射とは、インフレーション宇宙の証拠ともいわれているもので、宇宙のどの方向からも同じ強度で届く電波のこと。あらゆるものはその温度に応じた光を放射しているが、かつての高温高密度の状態から、3Kまで冷えた現在の宇宙ではその波長は1㎜程度の電波として観測されている。

【問14】HR図から主系列星の光度Lは表面温度T のだいたい何乗に比例すると読み取ることができるか問う問題。ステファンボルツマンの法則(星の光度Lは、表面温度Tの4乗と表面積の積)から導くか、グラフに線を引いて概算から導くかによるが、日常で用いない桁数の大きな計算に戸惑った方が多かったようだ。

【問26】惑星状星雲などのスペクトル中に見つかった未知の輝線は、後にどのような理由による輝線であるとわかったか(正答率25.3%)。発見された当時に知られていた元素からの輝線では説明できなかったことから、未知の元素ネビュリウムを想像した先人たちの予想が外れたという科学史の知見を問う問題であった。

最後に、【問8】日本の律令制における陰陽寮の漏刻博士が何を担当していたかを問う問題。本問は公式テキストに漏刻博士の業務内容についての記述がなかったため、全員正解となった。受験された皆様にはお詫びを申し上げます。

 

■1級・準1級
1級受験者の特徴として長らく挙げられたものに、受験者の多数を男性が占めるというものがあるが、今回は女性受験者が3割を超え、徐々に女性の受験者が増えつつある感がある。1級の試験内容は大学の講義レベルで専門性が高く、過去11回の試験の平均合格率は約4%。大学院レベルほど難易度は高くないのだが、出題範囲が非常に広範かつ多岐にわたる。そのため、複数回挑戦されて時間をかけて合格された方もいらっしゃる。さて、今回の1級試験についても受験者層が厚いのは、40代以上であった(40代20.8%、50代23.4%、60代19.5%)。点数分布をみてみると、40~49点にピークがあった。今回の合格者を年齢別にみてみると、1級は50代が66.7%を占めている。準1級の合格者も40・50代(40代28.6%、50代28.6%)が多い。この傾向は例年通りであった。1級の平均点は47.7点であった。これは過去11回の試験のほぼ平均点でもある。

出題問題を見てみよう。正答率が8割を超えたものは3問。
【問2】陽子と中性子を繋ぎ止めて原子核をつくっている力を問う問題(正答率87.0%)。正答は「③強い力」。1級受験者にはやさしかったようで、正答率はさすがの87%と高かった。

【問35】8つの客星の記録が残されている日本の中世の文書を問う問題(正答率85.7%)。正答は藤原定家の日記『明月記』。かに星雲の超新星爆発に関する記述の精確さについては、『公式テキスト2級』でも取り上げている。現代に残る貴重な天文資料として名を馳せるだけに、こちらも高い正答率を記録した。

【問18】小惑星探査機「はやぶさ2」の現状について問う問題(正答率83.1%)。時事問題は1級試験問題で毎回数問出題される。正答は、「地球に帰還するカプセルを分離した後、新たなる探査に向かっている」で、まず2026年に2001 CC21をフライバイによる観測を行い、その後、2031年に小惑星1998 KY26にランデブーして近接探査を行う予定。時事問題対策としては、天文学や宇宙開発関連のニュースに耳目を開き情報収集に努めていただくほかない。

【問33】太陽系形成過程を表す4点の概念図から、雪線を境界とした構成分類の違いを問う問題(正答率83.1%)。『理科年表』にも掲載されているおなじみの図からの出題でもあり、比較的容易であったとみられる。

正答率が2割以下と低かった問題は、以下が挙げられる。
【問7】火星の衛星フォボスとダイモスの記述で誤っているものを問う問題(正答率13.0%)。NASAの探査計画でにわかに注目を集める火星の衛星であるが、ダイモスの方が先に発見されたという事実も、その他の知見もあまり知られていなかったようで、回答は見事に散ってしまい正答率が低くなった。

【問26】ある近接連星のロッシュポテンシャルと星の形状を表した図から、この近接連星が何型に分類されるかを問う問題(正答率11.7%)。ロッシュポテンシャルについては過去にも数問が出題されているが、その際の正答率を振り返ってみると本問がもっとも難易度が高かったようだ。1級は公式参考書として『極・宇宙を解く』が指定されており、本問もそこからの出題であった。出題問題のおよそ4割程度は参考書の記述を出題範囲としているので、理解が及ぶまでの読みこなしをして臨んでいただければと思う。

 

■総括
天文宇宙検定公式テキストには、われわれの住まう宇宙について、基礎的事実から最先端の知見まで散りばめてあるが、受検者のみなさんは公式テキストを楽しんでいただけているだろうか。文科省の指導要領に縛られた学校現場の教科書とは違って、面白くない内容は無理に載せていないし、新発見などは割と早くに掲載できるのが利点だと考えている。
さて、コロナ禍および年2回開催となって3年目に入ったが、受検者数は堅調で(というより1年あたりではかなり増加している)、合格率も数年単位でみれば全体的にやや増加傾向にあるようだ。受験者を選別するための入学試験と異なり、本検定は受検者のみなさん一人ひとりの“学び”を確かめてもらうための試験なので、合格率が少しでも上がると主催者側も嬉しい気持ちになる。とはいえ、1級合格者は相変わらず少ないが、これは致し方ない面もある。1級講評にもあるように、小中高(4級から2級)レベルに比べて、大学レベルの内容は格段に難易度が高くなるためだ。まず、宇宙“物理学”などがふんだんに必要になって質的に難しくなり、さらに扱う範囲が広く深くなって量的に膨大なものになる。とはいえ、1級参考書『極・宇宙を解く』は実際にいくつかの大学で教科書として使用しているものなので、1級や準1級に合格された方々は大学の天文専門課程を出たぐらいの力を付けられたということだ。1級に限らず、上のクラスへの挑戦を続けていただきたい。
最後に、総括とは少し話が逸れるが、検定委員会内部でここ数年議論になっているのが、<即応性>の問題である。公式テキストは2年ごとに改訂しているが、ということは、改訂後2年間の間に興味深い発見や知見があっても(1級を除き)出題できないわけである。とくに年2回開催となると、うち、3回ぐらいの試験で出題ロスが起こりうる。そのため、時事問題に限って、テキスト範囲外からの出題を認めるか、やはりテキスト範囲に限るかなどが議論されている。折衷案としては、HPなどで時事問題の解説をして出題範囲に含める方法もある(でも、ちょっと大変かも)。受験者のみなさんの忌憚ない意見をお聞かせ願えればありがたい。

2022年9月吉日
天文宇宙検定委員会

第12回天文宇宙検定 受験者データおよび講評

2021年11月21日に開催した第12回試験について、合格率・平均点などの受験者データと、検定委員会による講評をアップしました。
諸般の事情により公開が遅れましたことをお詫び申し上げます。
「第12回天文宇宙検定解答速報」を公式HPに再度アップしましたので、併せてご覧ください。

第12回天文宇宙検定(2021年11月21日開催)
●最年少受験者
1級・準1級   9歳
2級   6歳
3級   6歳
4級   4歳

●最高齢受験者
1級・準1級   81歳
2級   85歳
3級   88歳
4級   80歳

●受験者男女比率
1級:男性  80.7%、女性  19.3%
(準1級:男性  81.8%、女性  18.2%)
2級:男性  66.8%、女性  33.1%
3級:男性  49.3%、女性  50.6%
4級:男性  54.0%、女性  45.5%

●合格率
1級:4.3%
2級:31.8%
3級:82.0%
4級:88.5%

●最高得点
1級:73点
2級:94点
3級:97点
4級:100点(2名)

●平均点
1級:45.1点
2級:61.4点
3級:71.7点
4級:77.0点

 

○第12回天文宇宙検定講評

■4級
第12回検定の4級受験者数は過去2番目の多さで、数多くの方々に挑戦いただいた。年齢別にみると、10代以下が受験者の過半数50.1%を占め、例年以上に若年層の受験者が多い回であった。
しかしながら、今回の4級合格率は88.5%と、こちらも過去2番目の高さであった。年齢別に合格率をみると20~80代で90%を超えているのは例年通りの傾向だが、10歳未満で77.0%、10代で87%と、例年に比べて高く、これが合格率が全体の合格率を引き上げた。
得点分布をみると、ピークは80~89点にあり、29点以下が0%であった。受験に備えて高い理解度をもって臨まれた方々が多かったことがうかがえる。最高得点100点は2名であった。
正答率が90%を超えた問題は、40問のうち以下の9問。天体の分類や月の満ち欠けなどの4級試験問題の定番ともいえる問題に対しての対策は十分という方が多く、高い正答率となった。
【問28】天体名とその種類について正しい組み合わせを選ぶ問題(正答率97.1%)、
【問3】天球の図中に示された場所の名称を問う問題(正答率95.1%)
【問19】図の中から望月を選ぶ問題(正答率94.1%)
【問5】季節に見ごろの星座とは何時ごろに見つけやすいものをいうか問う問題(正答率93.9%)
【問1】日本での太陽の見かけの動きの正しいものを選ぶ問題(正答率93.6%)
【問2】月の満ち欠けの順番を問う問題(正答率92.7%)
【問32】星の色から温度の低い順番を問う問題(正答率92.4%)
【問8】夏至の日について正しく説明しているものを選ぶ問題(正答率91.9%)
【問38】地球の自転について問う問題(正答率91.9%)
正答率が低かった問題をみてみると、以下の3問が正答率5割に満たなかった。
【問20】天体望遠鏡に記された数字が表すものを問う問題(正答率35.0%)
【問31】2021年2月に火星着陸したアメリカの探査車の名前を問う問題(正答率35.7%)
【問14】図から星座早見ばんの方角が正しく表記されているものを選ぶ問題(正答率49.4%)
上記の次に正答率が低かったのは【問37】観望会について正しくないものを選ぶ問題(正答率51.3%)であった。星座早見ばんに関する問題は、4級の定番問題なのだが、毎回正答率が低い分野である。星座を探せるスマートフォンアプリの普及によって、星座早見ばんに触れる機会が少なくなっている現状の一端を表しているのかもしれないが、人間の目は暗闇に慣れるのに20分ほど時間がかかるため、明るい液晶画面を見なくてすむ星座早見ばんには利点もある。ぜひ活用してみてほしい。「天体望遠鏡に触れたことがない」という声も多く聞くので、天体観測の体験や観測機器への慣れ親しみが伴わない知識は身に付きにくいのかもしれないというのも印象である。コロナ禍の影響で、科学館などで実施されていた観望会は自粛や規模縮小されることが多いが、この夏はぜひ、天体望遠鏡に触れる機会、天の川を肉眼で見るなどの天体観測の経験をしていただけると、検定試験で身に着けた星座や神話の知識の振り返りになるのではないだろうか。

■3級
今回の3級試験の合格率は82.0%。過去12回の試験で80%を超えたのは4回で、今回は過去2番目に高い合格率となった。4級同様に20代~70代以上の合格率は高くて、80%以上であった。得点ピークは70~79点台で29.5%の方がこのゾーンに属する。この6年ほどは満点が出ていない。今回の最高得点は97点がおひとりいらっしゃる。素晴らしい成果である。4級にくらべると、記述はより詳しく、範囲も広くなり、整理して覚え理解することが必須となるため、10歳以下の若年層では苦戦することも多く、今回も10歳未満の合格率は2.9%にとどまっている。
試験問題全60問のうち、正答率が90%を超えた問題は以下の10問。太陽系惑星の特徴や星座線から星座を特定するなどの定番問題に高い正答率がみられる。
【問52】流星群のもとになる塵を放出する天体を問う問題(正答率98.1%)
【問16】国際宇宙ステーションの日本の実験施設名を問う問題(正答率96.8%)
【問25】天王星・海王星・冥王星の英語名を問う問題(正答率96.2%)
【問10】イラストから古代エジプトの宇宙観を表すものを選ぶ問題(正答率95.9%)
【問37】環のない惑星を選ぶ問題(正答率94.4%)
【問22】天文単位は何を基準にした単位かを問う問題(正答率93.3%)
【問48】人類が探査機を着陸させたことがない天体を選ぶ問題(正答率93.3%)
【問49】地球から見て太陽の前を横切らない天体を選ぶ問題(正答率92.4%)
【問56】写真から太陰とも呼ばれることがある天体を選ぶ問題(正答率92.3%)
【問2】星座線から星座名を選ぶ問題(正答率92.1%)
正答率が低かった問題で全体の正答率が3割に満たない問題は、以下の3問であった。
【問40】2006年打ち上げの日本の赤外線天文衛星の名称を問う問題(正答率12.9%)
【問53】地球から10光年の範囲内にある恒星の個数について問う問題(正答率28.1%)
【問34】星座の略号に関する問題(正答率28.1%)。88個ある星座それぞれにアルファベット3文字で表記される略称があるが、星座名がラテン語由来で略し方が特異であったり、大文字を複数個含むものがあったりする。問34は意地悪な問題であったかもしれない。
上記に続いて正答率が低かった問題は、【問30】4つの1等星のなかで最も明るいものを選ぶ問題(正答率37.0%)であるが、これは『公式テキスト3級』のカバー折り返し部分に、全天で21個ある1等星を明るい順にならべた表からの出題であり、見落としていた方が多かったのかもしれない。1等星の名前は、歌や小説など創作物にも多用されるので、星の知識があれば、より世界観を愉しめる一助となろうかと思う。次に正答率が低かったのは、【問42】天球座標名とその使用目的の組み合わせからふさわしくないものを選ぶ問題(正答率37.6%)。天球座標は一般になじみが薄く、図を見ただけで混乱するという声もあるので、その使用目的を問われるとお手上げという方が多かったようであるが、2級へとステップアップを狙うならば抑えておきたい知見である。次に正答率が低かったのは、【問32】日本人が初めて宇宙に行ったときに乗ったものを選ぶ問題(正答率38.7%)。1990年に当時TBS社員であった秋山豊寛氏が旧ソ連の「ソユーズ」で宇宙に行ったのが最初だ。秋山氏の宇宙から地球に向けての第一声「これ本番ですか?」という迷言と共に40代以上にはよく知られた出来事も、年少者には難しかったようだ。現代ではYoutubeなどでも当時のニュース映像は観られるのでご覧いただければと思う。

■2級
今回の2級受験の受験者数は過去2番目に多かったが、合格率は過去11回平均を少し下回る31.8%であった。ちなみに、直近3回の試験の平均は40%である。過去12回の試験で2級の満点取得者は出ていない。今回の最高得点は94点であった。
平均点は61.4点で、3級・4級の平均点よりも10点近く低くなる傾向は今回も変化がなかった。得点のピークは60~69点でこのゾーンには全体の26.6%が属しており、毎年のことであるが、合格点である70点にあと数点足らずに涙を飲んだ方々は多い。受験者は20代が26.9%で一番多く、次いで10代の16.2%、50代の14.5%が続く。
正答率が90%を超えた問題は、60問のうち以下の3問。
【問33】太陽系天体を太陽から近い順に正しく並んでいるものを選ぶ問題(正答率91.6%)
【問9】国際宇宙ステーションの長期滞在期間に制限がある理由を問う問題(正答率90.2%)
【問14】HR図の「HR」が何を略したものかを問う問題(正答率90.1%)。
次いで、【問46】天体写真について述べた文章からその天体の状態を正しく記述したものを選ぶ問題(89.0%)。【問26】天球での散開星団の分布を正しく示した図を選ぶ問題(87.1%)、【問24】HR図上で分類された恒星のグループの名称を選ぶ問題(87.0%)。いずれも『公式テキスト2級』を熟読しておけば正答に辿り着くことのできる問題である。とはいえ、個々の記述を知識として暗記するのみではなく、全編を俯瞰してとらえることが求められる。例えば、問46では、名前を伏せた天体写真4点について、その大きさ・成り立ちなどから分類してとらえ直すことが求められる。
正答率が3割を切った問題は、以下の5問。
【問42】黄道光が太陽コロナのどの部分と関係しているかを問う問題(正答率26.6%)
【問31】プランク定数の単位を問う問題(正答率24.4%)
【問37】LIGOで検出された重力波の波形データを表す図の横軸の単位を問う問題(正答率23.9%)
【問20】植生反射率と波長の関係を表す図の深い切れ込みの原因を問う問題(正答率22.3%)
【問22】CNOサイクルの模式図から触媒として働く原子核に酸素がいくつあるか問う問題(正答率10.0%)。いずれも当然ながら『公式テキスト2級』からの出題ではあるが、インターネットや関連書籍等から知識を補完すれば、より理解を深めることができるのでお勧めしたい。例えば、問42の黄道光については、『公式テキスト2級』の旧版では、柿本人麻呂が詠んだ歌に登場する「かぎろい」を黄道光ではないかと推察した説を紹介していたが、紙幅の都合で改訂時に残念ながら削除されている。だが、「黄道光」でネット検索をしてみると、その柔らかく不思議な明るさをとらえた写真などを見ることができる。当検定受験を機に、新たな知見へと知識欲をさらに広げてもらえれば幸いである。

■1級・準1級
1級試験は当検定で唯一受験資格がある級で、2級試験を合格することが条件となっている。1級に合格して天文宇宙博士の称号を得るには70点以上をとらなくてはならない。今回も難関をクリアして新たな天文宇宙博士が誕生した。今回の1級合格者を含めても、天文宇宙博士は、この地上にまだ40名しかいない。
第12回の1級得点のピークは40~49点にあって37.9%がこのゾーンに属している。受験者の平均点は45.1点で、最高得点は73点であった。今回も史上初の満点獲得者はあらわれなかった。1級受験者に占める70点以上の合格者は1級受験者の4.3%であった。
1級受験者のうち、60点以上70点未満であった方は、準1級となる。今回の1級試験では、準1級合格者は7.9%で10代で合格された方がいる。
正答率が高かった問題は、以下のとおり。
【問25】月探査で中国が史上初めて成功させたことを問う問題(正答率82.1%)
【問37】星間減光の説明として誤っているものを問う問題(正答率76.4%)
【問38】1012を表すSI接頭語を問う問題(正答率73.6%)
正答率が低かった問題は、以下のとおりである。
【問2】図から離心率0.2の図を選ぶ問題(正答率4.3%)
【問4】望遠鏡を使って初めて天体を見たとされる人物を問う問題(正答率12.9%)
【問26】5つの星のスペクトル図から読み取れることを問う問題(正答率14.3%)
【問40】宮沢賢治作詞の『星めぐりの歌』に登場しない星座を問う問題(正答率15.7%)
【問8】漸近巨星分枝星とはどういう状態の星かを問う問題(正答率17.1%)
【問5】図から北緯35°地点の太陽の位置の季節変化を示した正しい図を選ぶ問題(正答率18.6%)

■総括
2020年から年2回(春・秋)の試験開催となった当検定ですが、第12回試験の講評が諸般の事情により大幅に遅れてしまったことを改めてお詫び申し上げます。次回からは、合格通知の発送後、出来得る限り早い段階でお届けできるよう努めてまいります。
今試験においても、長引くコロナ禍にもかかわらず、たくさんの方々にご参加をいただき、感染予防対策にもご協力をいただきました。あらためて御礼申し上げます。
「宇宙産業」という伸びしろが見込める産業において、我が国がアドバンテージをもっているのは、ひとえに先人たちの努力の賜物でしょう。一方、全国に宇宙が好き、星が好きという方々がたくさんいらっしゃって、もっと知りたい、深く知りたいという情熱をもっておられることも、その下支えとなってきたのではないかと、当検定の運営のなかで日々感じています。今回の受験申込は、コロナ禍にもかかわらず、過去12回で最多のお申込数をいただきました。残念ながら、感染を避けるため、受験を断念された方々もいらっしゃいましたが、いずれコロナ禍が沈静化しました折に、再度の挑戦をお待ちしております。
さて、まず例年の総括にも書いてあることを最初に繰り返させていただくと、本検定のココロは天文や宇宙に関わるあらゆるモノゴトについて徹底的に楽しんでいただくことです。さらに深遠で迂遠なる大目標としては、天文の裾野を広げ、天文人口を増やし、全体に押し上げて、日本を宇宙大国・科学技術立国へ導くことにある・・・というのは今回とってつけた大風呂敷ですが、コロナ禍にもかかわらず、多くの方々が相変わらず関心を寄せてくださることを考えると、無謀な目標でもないような気がしてきました。そのような本検定の目標のため、そして多くの方々の期待に応えるために、公式テキストを2年ごとに改訂する都度、どうしたら説明がわかりやすくなるか(図解にしたりもする)、面白く意外な記述にできるか(おふざけにはならない程度に)、そして2年の間に得られた最先端の知見や発見などをどのように嚙み砕いて組み込むか(同じ分量を減らすのが難儀)、テキストの執筆者は2年ごとに試練にさらされています(もちろん楽しみながら)。また検定問題についても、多くの作問者から寄せられた問題案を取捨吟味し、暗記問題ではあるが基礎的な問題から、ちょっと工夫が必要な応用的問題、図や写真を用いた問題、上級であれば数式を使う問題など、バランスをとりながら問題選定にあたっています(選定委員も勉強になることが多い)。ところで、今回の講評文が遅れたお詫びに、ちょっと試験対策のヒントを書いておきますと、図や写真を使った問題は穴場だと思います。公式テキストは図や写真をできるだけ多用しているが、それでも図や写真の点数は限られており関係する文章量は少ないです(情報量は多いが)。一方で、検定問題では図や写真を用いた問題はある一定の割合で出題されるので、図や写真問題がしっかり解けるようにしておくことをお勧めします(図や写真の含む情報量は多いが映像として覚えることができるので)。相変わらずのコロナ禍で大変な毎日ではありますが、天文宇宙検定が多少なりとも心の清涼剤になればと思います。そしてまた、制作側も受験者の方々も楽しめるよう、一緒に天文宇宙検定を育てていきたいものです。今後ともよろしくご支援のほどお願い申し上げます。

2022年6月吉日
天文宇宙検定委員会

第13回試験問題へのご質問に対する回答

第13回試験問題について、いくつかのご指摘・ご質問を頂戴いたしました。

ありがとうございます。以下のとおり、回答申し上げます。

なお、3級問31と2級問8につきましては、出題範囲である『公式テキスト』の記述内容より

正答が導き出せないことから、当該設問につきましては、受験者全員を正解といたします。

受験者の皆さまにはご迷惑をおかけいたしましたことを深くお詫び申し上げます。

■3級・問26
【問題】

Aの位置における地球の季節(節気)はいつか。

①春分
②夏至
③秋分
④冬至

【正答】

【解説】

①春分点(うお座)の方向に地球があるときが春分ではなく、太陽が春分点方向に位置するときが春分である。

【質問】

正答は春分なので①ではないでしょうか。

【回答】

解答速報の正答に誤植がありました。解説にあります通り、正答は「①春分」です。お詫びして訂正いたします。

 

■3級・問31
【問題】

2021年12月25日に打ち上げが成功した宇宙望遠鏡の略称はどれか。

①TESS
②HST
③JWST
④TMT

【正答】

③JWST

【解説】

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)は口径6.5mの主鏡を備えた赤外線を観測する望遠鏡で、光を集める能力はハッブル宇宙望遠鏡の6倍もある。2022年の夏ごろから本格的に観測を始める予定で、宇宙最初の星(ファーストスター)の発見や太陽系外惑星の観測などの成果が期待されている。

【質問】

『公式テキスト3級 2021~2022年版』(初版1刷)で勉強しましたが、設問に「2021-12-25打ち上げ成功の・・・」とあります。テキストに記述がある範囲外からの出題ではないでしょうか。

【回答】
本設問では、「2021年12月25日に打ち上げに成功した宇宙望遠鏡の略称」を問うていますが、『3級テキスト2021~2022年版』の101ページには、JWSTに関して、「打ち上げはくり返し延期されているが、今のところ2021 年内に打ち上げられる予定」とのみ記述されています。これは、テキスト編集制作時には、まだJWSTの打ち上げが行われる前であったことによるものです。加えて、テキストには、選択肢「①TESS(太陽系外惑星の全天トランジット探査衛星)」に関する記述、および選択肢「②HST(ハッブル宇宙望遠鏡)」の略称の記述もありませんでした。テキストの記述より正答が導き出せないことから、本設問は出題範囲である『公式テキスト』の記述範囲外の内容を問う設問であったため、全員正解といたします。

■2級・問8
【問題】

日本の律令制においては、都に陰陽寮という機関が設置され、天文博士、陰陽博士、暦博士、漏刻博士が置かれていた。このうち漏刻博士は、何を担当していたか。

①占い
②治水
③時刻
④暦

【正答】

③時刻

【解説】

漏刻とは水時計のことで、漏刻博士らはこれを管理し、時報を告げていた。天文博士は占星術を、陰陽博士は陰陽師の養成を、暦博士は暦の編纂を担当していた。

【質問】
『公式テキスト2級 2021-2022年版』には、漏刻博士の具体的な役割については記述がないと思われますが?

【回答】
試験問題の出題範囲である『公式テキスト2級 2021~2022年版』には、ご指摘のとおり、陰陽寮についての記述部分に、天文博士以外の博士の役割については記述がなされておらず、3級問31と同様に、テキストの記述より正答が導き出せないことから、本設問は出題範囲である『公式テキスト』の記述範囲外の内容を問う設問であったため、全員正解といたします。